松山ケンイチ&ムロツヨシ、撮影ですき焼き堪能 吉岡秀隆は恨み節で笑い誘う
2022年9月17日 13:49
川べりに立つ安アパート「ハイツムコリッタ」に引っ越してきた孤独な男・山田(松山)が、個性的でワケありな隣人たちとの交流を通して、ささやかな幸せに気づいていく姿を描く今作。「かもめ食堂」などの荻上監督が、2019年に発表したオリジナル長編小説を、自身の脚本・監督で映画化した。16日から全国128スクリーンで封切られている。
上映後の観客に温かな拍手で迎えられ、荻上監督は「やっと、やっと公開になってうれしいです。皆さんの顔が見られて、本当にうれしい」とこれまでの道のりを噛み締めながら感無量の面持ち。主人公の山田を演じた松山も「無事に公開することができてホッとしています」と晴れやかな笑顔を見せていた。
山田とは隣人の間柄となる島田は、不思議な関係性を築いていく。松山は「ムロさんはとても好きな俳優ですし、以前も一緒にやらせていただいた大切な仕事仲間」と島田役のムロへの信頼感を明かしつつ、「島田は、いきなり入ってきて(山田に)『風呂を貸してくれ』と言う。やっぱり断りますよね。僕も同じ立場だったら、絶対に断る。どんな気持ちで言ってきたんですか?」と図々しいほど距離感が近い島田について率直な疑問を投げかけ、周囲の笑いを誘った。
ムロは「自分の中にも少しだけあるさみしさをごまかす、孤独の恐怖を見て見ぬ振りをするために、引っ越してきた隣人と関係性を持とうとしている。とにかく、お風呂に入りたかったんだよね」と茶目っ気たっぷりに語るなど、息の合った様子を見せていた。
劇中では、「ハイツムコリッタ」の住人たちがすき焼きをつつくシーンも登場する。しかしながら住人のひとりである溝口に扮した吉岡は「僕、すき焼き食べてないです。お肉は食べられなかった」としょんぼり。「お肉を食べようとすると、満島さん演じる南さんが器を出すので。滞納する家賃の代わりに、常にお肉を(南に差し出していた)」と大家・南の妨害に恨み節だ。
一方の満島は「家賃、払ってくれないから」と楽しそうに語り、吉岡は「ネギとしらたきしか食べていない。至近距離で松山さんがお肉を食べて、震えて、(おいしさのあまり)白目を剥く姿は、本当にうらやましかった。みんなはカットがかかるたびに『おいしい、おいしい』と言っていた」と肩を落とす。ムロが「僕が一番食べているというくらい、お肉を食べさせてもらった。ものすごくおいしかったです」と続くと、吉岡は「味が染み込んだ、おいしいしらたきとネギでしたよ」と自分を励ますように話し、これには登壇陣も大笑いだった。
温もりに溢れた舞台挨拶となったが、松山は「これから先、自分自身の周りの小さな幸せをどれだけ実感できるか、発見できるか、気づいていけるかが、必要になってくる時代になるんじゃないかと思っている」と切り出し、「そのいいヒントになる作品だと思います」とアピールし、場内の喝采を浴びていた。
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