田中裕子、主演作の撮影中断を自ら提案 尾野真千子は「裕子さんと芝居したい」と涙で再会誓った
2022年9月5日 20:00

田中裕子が主演を務める映画「千夜、一夜」の完成披露プレミア上映会が9月5日、都内で行われた。当初、出席予定だった田中は体調不良で急きょ欠席となったが、共演する尾野真千子、ダンカン、安藤政信、久保田直監督が舞台挨拶に立ち、作品の魅力をアピールした。
日本全国で年間約8万人にも及ぶという「失踪者リスト」に着想を得て制作したヒューマンドラマ。北の離島にある美しい港町を舞台に、愛する人の帰りを待つ女性たちに待ち受ける運命を描き出す。田中が30年前に突然姿を消した夫の帰りを待ち続けている主人公の登美子を演じている。
第64回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式に出品され、田中も出演した劇場デビュー作「家路」(2014)から8年。資金集めに苦労しながら、クランクインを迎えた久保田監督だったが、その頃にはコロナ禍の足音が聞こえており「ちょうど小池都知事がロックダウンという言葉を使い始めた頃。一度ストップすると、撮影再開が難しいので、自分としては(一度目の)緊急事態宣言が出るまでは撮り続けたかった」と振り返った。
そんな状況で、撮影中断を提案したのが田中だったといい「裕子さんが問うたのが、もしも(ロケ地になった)佐渡の皆さんに感染させてしまったら、二度と撮影はできないだろうということでした」。結果的に撮影は中断され、「そのとき、裕子さんが現場のスタッフ、キャストに『健康でいて。健康でさえいれば』と涙を流しておっしゃってくださった。真千子さんも泣きながら『絶対に裕子さんと芝居したい』と。あの光景は忘れない」と当時の様子を明かした。
中断のタイミングで、脚本の見直しもできたそうで、久保田監督は「この年月をかけたからこそ、良い作品ができた。“待った”かいがあったと思いながら、見ていただければ」と完成までの道のりを、作品が問いかけるテーマに重ねながら感無量の面持ちだった。

2年前に失踪した夫を捜す奈美を演じた尾野は「すごく難しい題材。皆さんだったら、どんな選択をするか。奈美は『ちょっとずるくない?』とも『それで良かったね』とも思える選択をするんですが、わたし自身もよくわからず、すごくモヤモヤする」と本音を明かし、「これで合っているのかなと思いながら、どうぞご覧ください」と客席に呼びかけた。
登美子に思いを寄せる漁師・春男役のダンカンは、2014年に亡くなった妻への思いを吐露しながら、“待つ”気持ちを抱える登場人物たちに共感しきり。一方、安藤は失踪してしまう奈美の夫・洋司を演じ「男としては、胸を張れない役」と苦笑いだった。
「千夜、一夜」は、10月7日から東京のテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開。来月開催される釜山国際映画祭の「ニューカレンツ・コンペティション部門」への正式招待が決定している。
(C)2022 映画「千夜、一夜」製作委員会
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