“レジェンド声優”羽佐間道夫が語る「ロッキー」裏話 声を枯らそうと海で浄瑠璃→通報される
2022年8月26日 10:00
1985年に製作された「ロッキー4 炎の友情」を、シルベスター・スタローン自ら再構築した「ロッキーVSドラゴ ROCKY IV」(公開中)。長年ロッキー(スタローン)の吹き替えを務めてきた羽佐間道夫が、本作や「ロッキー」シリーズにまつわる裏話を語った。
本作は、「ロッキー」シリーズ最大のヒット作となった「ロッキー4」を、理想とする作品に作り直したいという思いを持っていたスタローンが、コロナ禍でできた時間を使って徹底的に見直し、ロッキー、アポロ、ドラゴの戦いまでの道のりや各人物の心に注目したドラマに重点を置いて再構築。オリジナル版の半分近くとなる42分の未公開シーンへの差し替え、4Kデジタルリマスター、5.1chサラウンド、ビスタからシネスコへのアスペクト比変更と、36年の時を経てまったく新しい「ロッキー4」を作り上げた。
現在88歳の羽佐間は、劇場で日本語吹き替え版が上映される前の黎明期から主にテレビ放送用の吹き替えを務め、これまでアル・パチーノ、ジャン=ポール・ベルモンド、ディーン・マーティン、ポール・ニューマン、マルチェロ・マストロヤンニといった名だたるハリウッド俳優の吹き替えを担当。その数は280人を超えている。
1977年に公開された1作目「ロッキー」の吹き替え版は1983年に初めてテレビ放送され、それ以来「ロッキー」シリーズ全8作(「クリード」シリーズを含む)のすべてでロッキー(スタローン)の吹き替えを担当してきた。
最初に「ロッキー」の吹き替えで羽佐間を指名したのは、当時TBSのプロデューサーだった熊谷国雄氏だったという。
羽佐間は「話をもらったときは、風貌も声質も違うし、なんで僕に?と戸惑ったけれど、なんでもやってみようと思って臨んだ」というが、「スタローンは野獣のような声が特徴的で、どうしても普通では出せない」と苦戦したそう。「スポーツ観戦で大声をだしたら翌日声が枯れていたということを参考に、家族と一緒にドライブだと言って江の島に行き、海に向かって大声で浄瑠璃を語っていたら、怪しい人がいると通報された。どうも沖の船に合図を送っていると思われたようだ」と回顧。さらに、声帯の強い羽佐間は「1日ではそう変わらないので、3、4日やらないとダメなんですよね」と驚きのエピソードを明かす。
ロッキーを演じる際に気を付けているのは、ロッキーの中にある“優しさ”を声に盛り込むことだそうで、「『ランボー』などではスタローンの声をささきいさおさんが演じられていますが、『ロッキー』は羽佐間さんでと声をかけ続けてもらい、全8作やらせてもらっています」とキャラクターへの愛着をにじませる。
「銀河英雄伝説」などのアニメーションでも活躍する羽佐間は、実写とアニメの演じ方の違いについて「アニメーションは当初しゃべるタイミングがわからなかったので、富山敬さんにタイミングをポンとたたいて教えてもらっていた」と、レジェンドらしからぬ回答も。「どうしてもしゃべるタイミングを待って、一気にいってしまうので皆高い声になりがちだから、自然に抑えたようになるよう気を付けている」と語る。
また、米寿を迎えても現役で続けられる秘訣については「昔、藤山寛美を育てた都築文男に後進指導の妙を聞いたら、おだてることですよ、と」と振り返り、才能の片鱗がある人はおだてて育てると聞いて以来、羽佐間も実践しているとのこと。「ベテランは若手に否定的だったり認めようとしないところがあるけれど、もっと優しくしないと。若い声優さんと一緒にお仕事をすると、私のところに寄ってきて何か盗んでやろうと思っているはずですが、それ以上に私が若い人からいろいろ盗もうと思っていますよ」と、後輩たちから刺激を受け続けていることが元気の秘訣であることも明かした。
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