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アニエス・バルダ「冬の旅」10月公開 凍死体として発見された少女の足取りを追う物語

2022年7月26日 11:00

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本国フランスでは100万人を超える動員を記録
本国フランスでは100万人を超える動員を記録
(C)1985 Cine-Tamaris / films A2

アニエス・バルダ監督の代表作の一つに数えられながらも、初公開以来長らく日本で劇場上映されてこなかった「冬の旅」が10月下旬公開される。

2019年3月に90歳で逝去した、映画作家アニエス・バルダ。28歳の時に発表し、後に「ヌーヴェルバーグの最初の映画」と評されることになる「ラ・ポワント・クールト」(54)で注目を集め、「幸福(しあわせ)」(64)では、第15回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞、名実ともにフランスを代表する映画作家として世界に認識された。

以後もフィクションとドキュメンタリーを縦横無尽に行き来し、常に、市井に生きる人々の飾らない姿を活写し続けた。その長年の功績が讃えられ、2015年にはカンヌ国際映画祭名誉パルムドールを、2017年には米アカデミー賞名誉賞を受賞している。

1985年に発表された「冬の旅」は、バルダの劇映画の最高傑作との呼び声が高い。フランス片田舎の畑の側溝で、凍死体として発見された少女モナ。彼女の死に至るまでの数週間の足取りを、路上で出会った人々の証言から辿っていく――。

本国フランスでは、当時のアートシアター映画としては異例の100万人を超える動員を記録し、バルダ最大のヒット作と言われている。第42回ベネチア国際映画祭では最高賞の金獅子賞に輝き、主演を務めたサンドリーヌ・ボネールもセザール賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、作品も高く評価されていた。だが、6年遅れた日本での初公開時の観客の反応は鈍く、作品も正当に評価されたとは言い難かった。

しかし、30年以上の歳月を経て、2022年3月に東京・国立映画アーカイブで行われた特集「フランス映画を作った女性監督たち 放浪と抵抗の軌跡」での一度限りの上映は、早々に満席完売となる大盛況。さらには、バルダも好きな監督のひとりと公言し、同じベルギー出身の女性監督シャンタル・アケルマンの特集上映が盛況を呈しており、また「冬の旅」と同じく、「漂流する女性」を描き高く評価されつつも、長らく日の目を浴びてこなかったバーバラ・ローデンが監督・脚本・主演を務めた「WANDA」も日本初公開を迎えている。バルダの死後3年を経て、女性映画が偏見なしに受容される今、「冬の旅」再評価の機運が高まっている。

なお今回使用される素材は、14年にバルダ本人と本作の撮影監督を務めたパトリック・ブロシェによる監修で2K修復された、DCP素材での劇場公開となる。シアター・イメージフォーラムほか全国順次にて10月下旬より公開。

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