日本の年間行方不明者数、約8万人 「千夜、一夜」田中裕子&尾野真千子ら“待つ女”をとらえた予告完成
2022年7月15日 11:00
本作は、ドキュメンタリー出身で、劇場デビュー作「家路」(2014)が第64回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式に出品された久保田直監督が、「失踪者リスト」から着想を得て、8年の歳月をかけて紡いだ物語。「いつか読書する日」「独立少年合唱団」の青木研次がオリジナル脚本を手がけた。北の離島の美しい港町を舞台に、田中が、理由もわからぬまま突然姿を消した最愛の夫を、30年にわたり待ち続ける主人公・登美子を演じる。尾野が2年前に失踪した夫を探す奈美、ダンカンが登美子に思いを寄せる漁師・春男、安藤が奈美の夫・洋司を演じた。
予告編は、「日本の年間行方不明者数、約8万人」という衝撃的なナレーションで幕を開ける。夫の帰りを待ち続ける登美子に、春男が「心配だから面倒を見させてくれよ」と言い寄るも、彼女はその気持ちに応える様子はない。そんな登美子のもとに、失踪した夫を探す奈美が現れる。奈美は自分のなかで折り合いをつけ、前に進むために「夫がいなくなった理由が欲しい」のだという。映像には、夫の背中を追う登美子、奈美が扉を開けた先に立っている男性の後ろ姿、海へ入っていく登美子を追う春男など、印象的なシーンが次々と映し出される。ふたりの“待つ女”に投げかけられているように、「人はどれだけ愛した人のことを解っているのか」という言葉が、意味深に響いている。
ビジュアルでは、海辺の桟橋に座り、最愛の人の帰りを待ちながら、どこか遠くを見つめている登美子を活写。「帰ってこない理由なんかないと思ってたけど、帰ってくる理由もないのかもしれない。」という劇中のセリフが、コピーとして添えられている。場面写真には、登美子と奈美の切なげな横顔が切り取られている。
「千夜、一夜」は、10月7日から東京のテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開。