菅義偉前総理が「東京2020オリンピック」を鑑賞 思っていた映画と「全く違った」「人間の生き様や選手の心の動きがよく描かれていた」
2022年6月8日 13:00
「東京2020オリンピック」開催時に総理大臣であった菅義偉氏(衆議院議員)が、河瀬直美総監督による「東京2020オリンピック SIDE:A」を6月7日鑑賞した。鑑賞直後に東宝本社で河瀬監督と対談し、感想を語った。
会場に入った河瀬監督は、まず「先ほど菅さんに映画を見ていただいて、開口一番、『好きに作られましたね』と言っていただきました。これは誉め言葉と受け止めたい(笑)」と、控室でのやりとりを明かす。
菅氏は「オリンピック開催するしないでいろんな事がありましたので、そういったことを思い出しながら楽しく見させていただいた」「オリンピックを題材にしながら、人間の生き様や選手の心の動きがよく描かれていた」と感想を述べる。河瀬監督が菅氏に質問する形で対談は進行し、「思っていたオリンピック公式映画とは違いましたか?」と単刀直入に問うと、菅氏は「全く違った」「金メダルを取って国民が喜ぶような、そういう物語だと思っていた」と率直に答えた。
当時の総理大臣として、コロナ禍での開催を決行した菅氏の様子は、6月24日から公開の「SIDE:B」に映されているという。河瀬監督は「私自身、2021年の夏に何を見ていたんだろうと思うんです。反対派のデモもありましたし、やっぱり答えがないというか、自分の身も守ることができないような中で、どうして、オリンピックだけやるんだっていう不満が炙り出されてきたのだと思う」と一国民として回想し、「迎賓館でバッハさんたちをお迎えする時など、魂を持っていかれているかのようで、寝てらっしゃらないんじゃないかなと思うほど無表情でいらしたので、相当な決意で開催をして、そして最後まで走り抜けて……という時期だったんですよね」と菅氏に気遣いの言葉を投げかける。
菅氏は河瀬監督からのストレートな質問にタジタジになりながらも、「やはり国の責任があります。承知した責任をきちんと果たすために、水際対策をしっかり行い、国民の皆さんに一定の安心感を持ってもらえた」「世界に対して、日本の責任を果たしたいという思いがあった」と、ワクチン接種の開始など自身の仕事を振り返りながら、「呪われているようなことがあるのかなと思うくらいいろんなことがあった」「止める選択肢は国の責任者としてすべきでないと思っていましたから、無事終わってほっとした」と本音も。
また、映画では、夫婦で子育てをしながら表舞台に立ったカナダの選手、出産で引退を選ぶことが「自分にとっての普通だった」と話す日本の選手らが映されており、女性アスリートの描き方についてどのように思うか? と河瀬監督が質問。「日常の家庭生活にもある事ですから政治がそうした(両立できる)環境をつくっていかなければ」と菅氏は答えていた。
最後に本作について菅氏は「できるだけ多くの国民に見てほしいと思います。監督は敢えて、金メダルを取ったかわからないような内容に作られたんじゃないかなと思います」とPR。司会に「SIDE:B」はどんな内容だと思うか? と問われると「私が想像したような映画ではないでしょうか。または地域が喜ぶとか」と答えると、河瀬監督に「違います」と一蹴され、会場の笑いを誘っていた。
映画は賛否両論が叫ばれる中、2021年7月23日に1年遅れの開会式が行われ、17日間でオリンピック史上最多となる33競技339種目がほぼ無観客で実施された大会と、その開催に至るまでの750日をオリンピック公式映画として記録。第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションのクラシック部門(カンヌ・クラシックス)でも上映された。
現在公開中の「東京2020オリンピック SIDE:A」は、表舞台に立つアスリートを中心としたオリンピック関係者たちを映し、6月24日からは大会関係者、一般市民、ボランティア、医療従事者などの非アスリートたちを映す「東京2020オリンピック SIDE:B」が公開される。
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