香港では上映禁止 民主化デモを描く青春映画「少年たちの時代革命」2日間限定で特別上映
2022年4月28日 17:00
香港では上映禁止となった劇映画「少年たちの時代革命」(原題:少年)が、渋谷ユーロライブにて、6月4、5日の2日間限定で特別上映されることがわかった。あわせて、メインビジュアル、予告編も披露されている。
2021年のカンヌ国際映画祭、東京フィルメックスでサプライズ上映された「時代革命」、山形国際ドキュメンタリー映画祭で最高賞となるロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞した「理大囲城」は、日本でも大きな話題に。台湾アカデミー賞(金馬奨)では、これらの作品と共に、香港の無名の新人監督レックス・レンとラム・サムによる映画「少年たちの時代革命」が、最優秀新人監督部門、最優秀編集賞部門にノミネートされる快挙を果たした。
2019年、香港の民主化デモは激しさを増し、抗議の自殺をする若者が続出していた。デモに参加していた少女YYは警察に逮捕される。そして親友が香港を去り、自分との友情を絶とうとしていることを知った。YYはSNSにメッセージを残し、ひとり香港の街に消える――。ナム、ルイス、ゾーイは、YYのメッセージを見つけ、SNSを頼りに彼女を探し出そうとする。やがて、デモ隊の若者、ソーシャルワーカー、ドライバーの兄妹も加わり、捜索隊を結成。それぞれの思いを胸にYYを探し出そうとするが、誰もYYを見つけ出せないまま時間だけが過ぎてゆく。そして夜が深まり、屋上からひとり香港の街を見下ろしているYYの姿があった。
実際のデモ映像を織り交ぜた緊迫感あるストーリーが展開。少女YYの絶望する心、仲間を失いたくないと願うデモ参加者たちの悲痛な思いが描かれた青春映画となっている。
「少年たちの時代革命」緊急特別上映会は、6月4日、5日に渋谷ユーロライブで開催。各日午前10時回のみ。上映後、レックス・レン監督、ラム・サム監督によるオンライントークイベントも行う。鑑賞料金は、1800円(税込)均一。チケットのオンライン販売は、5月10日の0時よりlivepocket ticket(http://t.livepocket.jp/t/4eix4)でスタート。窓口は、当日開演30分前より販売(現金のみ)。オンラインで完売した場合は、窓口販売はなし。
レックス・レン監督、ラム・サム監督のコメントは、以下の通り。
いままで映画上映後のトークにあまり興味が持てなかった。映画を見ることはとてもプライベートなことで、あまり解釈を加えたくないと思うからだ。しかし台湾で「少年たちの時代革命」が劇場公開され、オンライントークに参加してから考えが変わった。観客との絆を深く感じたからだ。それは「少年たちの時代革命」という映画の特殊性によるかもしれない。この映画を創作したことで、僕も少年の精神を取り戻せた。どんなに悲しい体験をして深く傷付けられたとしても、すぐに前を向き、元気に遊んだり、頑張ろうと思えるような、無邪気な精神だ。「少年たちの時代革命」を見て、あなたは泣くかもしれない。でも今度オンライントークで会うとき、僕は冗談を言ってあなたを笑わせるつもりだ。実は年齢的に、僕はもう少年ではない。でも永遠に少年のように若くありたい。あなたもそうなるように。
「少年たちの時代革命」が日本で上映されることを、とてもうれしく思う。2019年夏、ちょうど香港民主化デモが始まった頃、日本へ旅行に行った。あるレストランで、僕が香港人と知り、店長が挨拶に来た。「香港のデモを見て、香港人の勇気に感動した」という彼の励ましの言葉に、とても心強くなった。日本人も香港で起きていることに関心を持ってくれていることを知った。3年後の今日、香港は変わった。世界も変わった。「少年たちの時代革命」が日本で上映されることで、現在とても悲観的な状況で生きている香港人に、光を与えることができるのではないかと思う。この映画を通じて、日本、そして世界中、自由を愛する人々と繋がることができたら、そして、我々からなにか生きる力を分かり合うことができたらと思う。ありがとう。