「底知れぬ劣等感。そこに差した魔」窪塚洋介がコメント 足立智充&玉置玲央主演作「夜を走る」予告、場面写真
2022年4月8日 19:00
足立智充・玉置玲央がダブル主演作した、佐向大監督の最新作「夜を走る」の公開日が決定、このほど予告編と場面写真、窪塚洋介、作家・樋口毅宏らからのコメントが公開された。5月13日からテアトル新宿にて先行公開、27日からユーロスペースほかで全国順次公開される。
大杉漣さんが主演した「教誨師」の佐向大監督が、9年前より構想をあたためてきたオリジナル脚本作。舞台は郊外のスクラップ工場。そこで働くふたりの男が主人公。ひとりは40歳を過ぎて独身、不器用な性格が災いして、上司から目の敵にされ取引先にも軽侮されながら、実家で暮らす秋本(足立)。ひとりは、そんな日常に飽き飽きしながらも、要領よく世の中をわたってきた谷口(玉置)。退屈で平穏だった二人の日常が、ある夜に起こった事件を境に、波乱に満ちた運命を辿るさまを、20人以上の個性豊かな登場人物と、観る者の予想を次々に裏切る怒涛のサスペンスで描いた破格のスケールの人間ドラマ。
予告編では、茫漠たる郊外の平野に位置する巨大なスクラップ工場で働く、秋本、谷口らの仕事や日常の様子が、二人のたわいもない会話とともに切り取られる叙情的な前半から一転、後半は、スリリリングかつ不穏なトーンで矢継ぎ早に展開され、予想だに出来ない出来事が次々に起こる劇的なドラマの一旦が垣間見える。
こんなはずじゃなかったという底知れぬ劣等感。そこに差した魔。
交錯する人々の“弱さ”が生む負の渦巻き。
その真ん中で狂ってゆく渦の目をドキドキしながら呆然と観ることしかできなかった。
こんなに色々起きるのに、誰も成長しないなんて。
正気と狂気の境界線を踏み荒らしながら縦横無尽に突っ走り、観る側をパニックに陥らせておいて、
実際には一ミリも前に進んでいないなんて。
それなのに、観終えたあと、これは自分の中にもある混沌だと認めざるを得ないなんて。
この、何年かに一本の大傑作を観た後でも、使い古された嘆きを繰り返せるだろうか。
登場人物は全員罪人で、何ひとつ問題は解決しないまま、ありていな幸せさえ手に入らず、主人公は
ありえたかもしれない自分を外側から見つめるだけ。
あらゆる予定調和を逸脱し、ありがちな「文芸映画」の枠を大きく超える。
生まれたての名作を観終わった後、あなたは別の人間になっているだろう。何ひとつ変わらないま
ま。
だ。粉々に砕け散った世界の向こう側から、途方もない暗黒がこちらを窺っているとも知らずに。そ
う、現実という名の暗黒が――。
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