【第94回アカデミー賞】助演男優賞は「コーダ あいのうた」トロイ・コッツァー!
2022年3月28日 10:20

第94回アカデミー賞の授賞式が3月27日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、「コーダ あいのうた」のトロイ・コッツァーが助演男優賞を初受賞した。
本作は、仏映画「エール!」(2014)をリメイクしたヒューマンドラマ。海辺の町で優しい両親と兄と暮らす高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、家族のなかでひとりだけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となった彼女は、家業の漁業を毎日手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気付いた顧問は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意する。コッツァーは、ルビーを見守る父フランクを演じた。
昨年「ミナリ」で助演女優賞を獲得し、プレゼンターを務めたユン・ヨジョンは、コッツァーの名前を告げる前に手話を使い、コッツァーが手話でスピーチしやすいよう、オスカー像を彼から受け取った。そんなユンを笑顔で見つめたコッツァーは、「ここに立つことができるなんて、本当にすごいことです。信じられません。アカデミー賞の皆さんに評価して頂いて、感謝します。『コーダ あいのうた』は世界中で公開されました。ホワイトハウスでも上映され、バイデン大統領とファーストレディのジルさん夫妻にもお会いしました。手話で汚い言葉を教えようとしましたが、マーリー・マトリンから大人しくするよう言われたので、今日も大人しくスピーチしたいと思います(笑)」と、ジョーク交じりに語り始める。
「そして何よりも、私が俳優としてのキャリアを築く機会を与えてくれた、ろう者のための素晴らしい劇場に感謝を伝えたいと思います。実は最近、スティーブン・スピルバーグ監督の本を読んだんですが、彼によると『最高の監督の定義は、非常にスキルのあるコミュニケーターである』ということでした。シアン・ヘダー監督は、最高のコミュニケーターです。なぜなら、ろう者の世界と、それ以外の世界の橋渡し役を務めたわけです。あなたの名前は、いつまでもハリウッドのその橋に残るでしょう」
そして最後に、コッツァーは父への感謝を伝えた。「私の父は、最高の手話の使い手でした。ですが、彼は自動車事故に巻き込まれ、首から下が麻痺になり、手話ができなくなりました。お父さん、あなたから多くのことを学びました。いつも愛しています。私にとっての英雄です。ファンの皆様、それから妻と娘、アリゾナの故郷、そしてチームの皆様、ありがとう。これは、ろう者に捧げたいと思います。『コーダ あいのうた』のコミュニティ、そして障がい者のコミュニティに捧げます。これこそが、我々の素晴らしい瞬間です」と、思いの丈を述べた。
米アリゾナ出身のコッツァーは、生後9カ月で聴覚に障がいがあることが判明。12歳のとき、ろう学校のフェニックス・デイ・スクールで演技の世界に触れる。やがて高校の演劇教師にパントマイムの寸劇を演じることを勧められ、俳優のキャリアのスタートに立つ。1987年、大学に進学したものの、国立ろう者劇場で働くことになり中退。2001年にテレビシリーズ「ダナ&ルー リッテンハウス女性クリニック」の第1話での本格デビュー後、「CSI:ニューヨーク3」(06~07)、「クリミナル・マインド8 FBI行動分析課」(12~13)、「マンダロリアン」(19)など、数々のテレビシリーズで活躍した。
「コーダ あいのうた」での演技が高く評価されたコッツァーは、第31回ゴッサム・インディペンデント・フィルム・アワード、第42回ボストン映画批評家協会賞、第28回全米俳優組合(SAG)賞映画部門、第37回インディペンデント・スピリット賞、第75回英国アカデミー(BAFTA)賞、第27回放送映画批評家協会賞など数々の賞を受賞。第94回アカデミー賞で、男性のろう者の俳優として初めてノミネートされ受賞を果たした。
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