【本日は国際ホロコーストデー】アウシュビッツの生存者を両親に持つ監督が「アンネ・フランクと旅する日記」にこめた思い
2022年1月27日 19:00

国連が定めた「国際ホロコーストデー」である本日1月27日にあわせ、出版から75周年を迎える不朽の名作「アンネの日記」を題材にしたアニメーション映画「アンネ・フランクと旅する日記」のアリ・フォルマン監督からのメッセージが披露された。ユダヤ人の少女アンネ・フランクと同じ週にアウシュビッツに到着し、生還した両親を持つ、イスラエル出身のフォルマン監督が、本作にこめた思いを語っている。
第二次世界大戦下、アンネが“空想の友達”キティー宛に綴った「アンネの日記」。1942年6月12日、13歳の誕生日に父オットーから贈られたチェック柄の日記帳に、ナチスから身を潜めていた隠れ家での生活や、ペーターとの初恋などを書き連ねた。47年にアウシュビッツを生き延びたオットーによって初出版後、世界中で読み継がれる作品となった。09年にユネスコの「世界記憶遺産」に登録され、「世界で最も読まれた10冊」のうちの1冊に挙げられた。
不朽の名作を、アニメでしか表現しえないアプローチで新たに映像化したのは、アニメ映画として初めて第81回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、第66回ゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞を受賞した「戦場でワルツを」のフォルマン監督。“空想の友達”キティーの視点でアンネの生涯をたどるとともに、キティーが現代のオランダをめぐるイマジネーションと遊び心に満ちた現代のパートを創出。21年のカンヌ国際映画祭のアウト・オブ・コンペティションに出品された。
物語の舞台は、現代のオランダ・アムステルダム。激しい嵐の夜、博物館に保管されているオリジナル版「アンネの日記」に異変が起き、日記のなかからキティーが姿を現す。時空を飛び越えたことに気付いていないキティーは、目の前から消えたアンネを探し、街を疾走する。
本日1月27日は、「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」。77年前のこの日、ナチス・ドイツのアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所が、旧ソ連軍によって解放された。戦争の記憶もホロコーストの生存者も失われつつあるいま、ホロコーストの記憶と経験を後世に語り継ぐことの必要性が高まっている。

フォルマン監督は、現代によみがえったキティーを通して未来へと届ける物語のメッセージを「アンネ・フランクの父親オットーやアンネ・フランク基金に同じ、すなわち、ホロコーストを記憶に留めることは過去を学ぶこと。そして、いまもなお、世界中に存在する紛争地の子どもたちへ思いを馳せることへとつながるのです」と語る。本作に協力しているアンネ・フランク基金も「いまなお多くの子どもたちが紛争地域から逃れ、命の危機にさらされている。私たちが変化をもたらすためには、過去から学ぶ必要があるのではないか。『アンネの日記』を通して、過去を思い起こし、歴史の教訓を学び、ともに生き、対話することで、平和へ向かうように行動する必要がある」と強調した。
あわせてお披露目された場面カットは、日記には書かれていない「アンネが最期を迎えるまでの7カ月間」の1シーンをとらえたもの。アンネと母親のエーディトが強制収容所へと向かう列車に揺られており、ふたりは胸に、ナチスの迫害の象徴だった黄色の星が縫い付けられたジャケットを着ている。劇中でアンネは「列車に乗って嬉しかった、隠れ家での2年に及ぶ潜伏生活のあと、初めて太陽の光を浴びたから」と語るが、やがてこの旅路が、自由に続いているものではないと悟る。
「アンネ・フランクと旅する日記」は、3月11日に東京・TOHOシネマズシャンテほか全国公開。
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