認知症の母を支える父を、ひとり娘が撮影するドキュメンタリーの続編 予告&場面写真公開
2021年12月27日 12:00

認知症の母親と耳の遠い父親の生活を、ひとり娘である信友直子監督が撮影したドキュメンタリーの続編「ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん」の予告編と場面写真がお披露目された。
フジテレビの情報番組「Mr.サンデー」の企画として始まり、2018年に公開された「ぼけますから、よろしくお願いします。」は、認知症の母と、母を支える父を、信友監督が丹念に映したドキュメンタリー。深刻化する老老介護や認知症をめぐる問題の実態を浮き彫りにしながらも、助け合う夫婦の姿を優しい視点でとらえ、単館公開としては異例のロングランを記録。口コミで上映劇場が約100館まで拡大し、累計観客動員は20万人を超えるなど、大きな話題を呼んだ。続編では、母の入院と、新型コロナウイルスの世界的拡大で、いつも一緒だった夫婦が、顔を合わせることさえままならなくなった現実を映す。

東京で働くひとり娘の「私」(=信友監督)は、広島・呉市に暮らす90代の両親を、1作目の完成後も撮り続けた。18年、父は家事全般を取り仕切り、日々奮闘しているが、母の認知症はさらに進行。ついに脳梗塞を発症し、入院生活が始まる。母に面会するため、外出時には手押し車が欠かせない父は毎日1時間かけて足を運び、励まし続け、「いつか母が帰ってくるときのために」と、98歳にして筋トレを始める。その後、一時は歩けるまでに回復した母だったが、新たな脳梗塞が見つかり、病状は深刻さを極めていく。そんななか、20年3月に新型コロナウイスが流行し、病院の面会すら困難な状況が訪れる。

予告編は、穏やかなピアノの曲が流れるなか、愛らしい笑顔で話す父の姿から始まり、「認知症になった母を90代の父が支え、ふたりで暮らす物語。――それには、こんな続きがありました」と、信友監督の語りが見る者を“物語”へと誘う。入院することになった母が、見舞いに来た父にかける「手がかかるようになってごめんね」という言葉。病床の母に、父が伝える「ありがとね。わしも、良い女房をもらったと思っています」という感謝。セリフではない、自然と発せられた何気ない言葉の端々から、お互いを気遣う優しさと愛がにじみ出ている。


場面写真は、林檎を持ってポーズをとる母や、筋トレをする父など、夫婦の人柄が伝わるものをセレクト。現実を冷静にとらえようとするドキュメンタリー監督としての立場と、実の娘であるというふたつの立場で葛藤しながら撮影を続けた信友監督が、「人生の最終章は悲しいだけではありません。お互いを思いやり、かわす笑顔もありました」と語る通り、それぞれの写真から、ふたりの楽しい日々と、深い絆が伝わってくる。
本作を鑑賞した大竹しのぶは、「ただひたすら、涙がこぼれます。嘘のないお父さんの言葉ひとつひとつに。そこには『愛』があるからです」とコメントを寄せた。渡辺えりは、「凄い映画、凄い親子だ。悲惨な場面もいとおしくて笑える。三人の内面にあるユーモアが優しく強い」と、賛辞をおくった。
「ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん」は、22年3月25日から東京の新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、ポレポレ東中野ほか全国で公開。
(C)2022「ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん」製作委員会
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