加賀まりこ、54年ぶりの主演作大ヒットに感無量…撮影を支えてくれたパートナーに感謝
2021年12月5日 15:30
自閉症を抱える息子と母親が社会の中で生きていくさまを温かく描き、さまざまな人間が共存する社会の在り方を問いかけた本作。公開初日は、メイン館となるシネスイッチ銀座の初回に約200人が劇場前に並び、長蛇の列ができるほどの盛況ぶり。その後も口コミが広がり、当初よりも公開規模が拡大。現在では119スクリーンで公開中だが、今後もさらなるロングランヒットが期待されている。
大勢の観客で埋まった場内を見渡した加賀は「実はご覧になったお客さまの前でこうやってご挨拶するのが初めてで。すごく恥ずかしくて、緊張しております」と感極まった様子で、「今日はこの映画を観るためにお時間をさいてくださったことを感謝しております」と謝意。続いて塚地が「映画はいかがだったでしょうか?」と尋ねると、会場からは万雷の拍手。その様子を見た塚地は「本当に小さな、小さな作品だったのが、皆さんの口コミのおかげで広がっていきました」と語りかけた。
また周囲の反響については「意外の連続だった」と振り返る加賀は、「普段、あまりお付き合いのないお友だちや監督などから突然LINEやメールをいただいて。本当にビックリの連続。今までの人生で褒められることがないので、毎日驚いています」としみじみ。塚地も三重県でロケをした際に、地元の喫茶店でトイレを借りたことがあったというが、「そこのママさんに『あんた梅の? 梅の人よね。テレビで観て、映画館に行きたいと思っていたのよ。(旦那さんに)お父さん! ほら、加賀まりこさんの息子さんよ!』と言われて。ちょっと違うけど、どうやら加賀さんの息子さんだと思われていたようです」とのことで、その反響をじかに感じ取っているという。
「こうなったら47都道府県、全部行きたいよね」と意欲を見せた加賀に、「いいですね」と同意した塚地。「実はまだ上映されていない地域が秋田県と高知県らしいんですよ。で、秋田県はもちろんのこと、私、高知県の観光特使をやっておりまして。なのになぜ? わたしの一族も住んでおりますし。ということで、ぜひ高知でもやっていただきたいなと思っております」とその思いを訴えかけ、会場を沸かせるひと幕もあった。
親子の愛情を描き出した本作は、“生まれてきてくれて、ありがとう”という思いを描き出している。そこで「生まれてきてくれてありがとう、という感謝の言葉を伝えたい人は?」という質問を受けた塚地は、ちょうど11月25日で50歳の誕生日を迎えたことを受けて、「まさに(主人公の)忠さんと同じ年になりました。だから母ですね。父も他界して、映画にオーバーラップする自分もいますし、母もこの映画を観て泣いたらしくて。そういった作品に50歳の年にめぐり会えて。自分の母に観てもらえるのは何かの縁だなと。あとはついでに相方ですかね」と笑いながら答えた。
続く和島監督は「この映画のシナリオを書いている途中にコロナになって。どんどん人との距離が広がっていったんですが、自分はありがたいことにこの映画を作る機会をいただいたので。スタッフや出演者の皆さんとの絆を作ることができて。人とかかわることができました。この映画が生まれてきてくれたことに感謝ですね」と話した。
そして最後に加賀が「もちろん、いろんな方に生まれてきてくれてありがとうございますですが、この映画に関して言うと、わたしの連れ合いですね」と明かす。「監督からこの映画の台本をいただいて、やるべきかどうか考えました。わたしの連れ合いには自閉症の息子がいるんですが、その彼に『もしかしてわたしがこういう映画に出るのは、あなたは嫌じゃない?』と聞いたら、『この映画は自閉症の子どもを意地悪な目で見る映画じゃないし、むしろ生まれてきてくれてありがとうという感覚で作る映画だから。ぜひやった方がいい』と言ってくれた」とその決意の後ろ盾となったパートナーについて語る。
そしてさらに加賀は「でもこの映画の撮影は2週間で。『それでこれだけの量を撮影しないといけないのよ』と言ったら、連れ合いが『じゃあその2週間の間、僕があなたを支えるから。現場に行ってあげるよ』と。男としていろいろなことがあったと思いますが、それを乗り越えて、毎日付き添ってくれました」と撮影の日々をパートナーに支えられたと明かす。そして最後に「心から感謝しています。連れ合いに生まれてきてくれてありがとうと言いたいです」と感謝の念をにじませた。会場からは大きな拍手が送られた。(PR)
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