萩原みのり、3年ぶり単独主演作「成れの果て」は「心強いお守りになってほしい」
2021年12月4日 19:00
原作は劇作家、映像作家として活躍するマキタカズオミ主宰の劇団「elePHANTMoon」が、2009年に上演した同名戯曲。確かな演技力と独特の存在感で自らの立ち位置を確立した萩原は、8年前のある事件によって心に傷を負って上京した小夜に息吹を注いだ。その事件に関わった男性が自分の姉と婚約したことを知り、居ても立ってもいられず帰郷する。彼女の過激な言動は周囲の人々を巻き込み、それぞれの隠された人間性を抉り出していく。
オファーを受けて脚本を読んだ際、小夜の最後の選択が理解できなかったという萩原は、「ここまで悩んだ作品は初めてでした。でも脚本の中で、小夜がひとりで叫んでいる感じがしたんです。その時、小夜の横にいきたいという気持ちが不思議と湧いてきました。たぶん小夜のことが好きだったんだと思います」と胸中を明かす。メガホンをとった宮岡監督は、「小夜を演じる俳優は、彼女の壮絶な過去をフラッシュバックなしで表情やお芝居で表現しないといけない。演じてもらうなら萩原さんしかいないと思いました」と説明する。
一方、物語をひっかき回す役回りの絵里役を得た秋山は、「監督からは場をかき乱してほしいと言われたので、その場に訪れた台風ぐらいの気持ちで演じていました。楽しかったですね」とニッコリ。絵里の無神経な一言が空気を一変させるシーンに関しては、「共演者の皆さんのテンションがどんどん下がっていくんです。さすがに不安になりましたし、私も人間なので引っ張られそうになりましたが、監督から『みんなのテンションが下がっているのは“正解”なので、そのままの感じでいきましょう!』と背中を押されました」と葛藤があったことを語った。
そして、「根に持つということは辛いことじゃないということを知った」と口にしたのは萩原だ。「根に持ちまくればいいじゃんって思います。忘れたくても忘れられないことは、きっと忘れられない。無理に忘れようとするんじゃなくて、大事に自分の中にとどめて、一緒に生きていくという選択もある。根に持つって、前を向くために大事なことでもあると思います。誰かひとりでもいいから、この作品がその人にとっての心強いお守りになってほしいし、小夜がそういう存在になってくれたら嬉しいです」と客席へ語りかけていた。
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