リーアム・ニーソン、スタントなしで「ナイフで刺されているような痛み」 「アイス・ロード」の過酷な撮影と今後のキャリアを語る
2021年11月13日 13:30
リーアム・ニーソン主演のレスキューアクション「アイス・ロード」が公開中だ。2022年に70歳を迎えるニーソンが、CGをほとんど使用せず撮影した今作のアクションへのこだわりと、今後のキャリアについて率直に明かした。(取材・文/編集部)
映画は、地下に閉じ込められた26人の命を救うため巨大トラックで危険な氷の道を走り抜けるドライバーの闘いを描いた物語。カナダのダイヤモンド鉱山で爆発事故が起こり、作業員26人が地下に閉じ込められた。事故現場に充満したガスを抜くための30トンもの救出装置をトラックで運ぶため、マイク・マッキャン(ニーソン)ら凄腕ドライバーとマイクの弟でメカニックのガーティが集められる。鉱山への最短ルートは厚さ80センチの氷の道「アイス・ロード」で、スピードが速すぎれば衝撃で、遅すぎれば重量で氷が割れてしまう。地下の酸素が尽きる30時間以内に装置を届けるべく、命がけでトラックを走らせる彼らだったが、事故には危険な陰謀が隠されていた。
「アルマゲドン」の脚本家ジョナサン・ヘンズリーが監督、脚本を務めた。ニーソンとマーカス・トーマス、「マトリックス」シリーズのローレンス・フィッシュバーン、「リンカーン 秘密の書」のベンジャミン・ウォーカーらが共演した。
マーカスとは今回初めてお会いしたんです。私は、マーカスが演じたガーティが抱えている失語症の症状を知らなかったのですが、監督とマーカスがかなり学んでリサーチしてくれていました。(失語症を)説明するときに、“苦しんでいる”といる表現は避け、実際に病気ではないので“病気”という言葉は使わないなど、気を付けるべきポイントがあります。
ガーティはイラク戦争で銃弾を受け、脳に障害が残っていて、言語に影響が出ているという設定です。
マーカス自身は非常に魅力的な人で、いい関係を築くことができました。撮影が終わる頃には、彼のことが大好きになっていましたね(笑)。彼と毎日顔を合わせるのが喜びでしたし、お互いに面倒を見合うような、とてもいい関係性で演じることができました。
(CG用の)グリーンバックはほとんど使いませんでした。アイス・ロードも本物だし、雪も本物です。スタジオ撮影はまったくありませんでした。カナダのマニトバ州にあるウィニペグ湖でロケを行い、水も凍っていて、18輪トラックも実際に使いました。
唯一、氷の下に潜るシーンだけ少しグリーンバックを使っているくらいで、今回は本当にリアルにやっています。
本当にとても寒かったです。マーカスも私もドライスーツを着ていましたし、スタントマンにやって欲しいと思わなかったんです。自分自身で演じたいと思っていました。
(氷の穴に)飛び込んでから水面の揺れが一旦収まり、また私たちが上がってくるまで、水面下に10~12秒程潜っていないといけないことは分かっていました。水面下ではマーカスと掴み合っていたのですが、ドライスーツを着ていても素手だったので、手にはナイフで刺されているような痛みがありました。どうしてもタイタニック号の犠牲者のことを考えてしまいましたね……。
でも、マーカスも私もスタントマンに任せず、自分自身で演じられたことは誇りに思っています。(スタントマンが演じると)同じようにはなりませんから。2~3台のカメラをセットして、1回で撮りました。
計画のようなものは一切ないのですが、脚本を気に入ればどのようなジャンルの作品でも出演したいと思っています。私は脚本家の方々を非常に尊敬しているので、物語が私に響いて、自分がその役に合っていると思えば、話を進めるでしょう。
ありがたいことに、いまだにいくつかアクション映画の脚本をいただくんです。私の年でそんなオファーがあるなんて……来年70歳になるんですよ。来年は2本アクション映画を撮る予定です。
でも、アクション映画だけをやりたいわけではありません。正直に言えば、もう少し年齢がいくと、観客が私のアクションに信ぴょう性を持ってくれないのではないかと思います。なので、アクションばかりをやるわけにはいかないでしょう。
みなさんが安全で、健康でいらっしゃることを願っています。私たちはいま非常に奇妙な時代に生きているので、ぜひ「アイス・ロード」を見て楽しんでいただきたいです。ワクワクするし、エモーショナルな瞬間もたくさんあります。私もこの作品を誇りに思っています。
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