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「メインストリーム」ジア・コッポラ&マヤ・ホークが語る、家族&ソーシャルメディアの影響

2021年10月9日 09:00

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マヤ・ホーク(左)&ジア・コッポラ(右)
マヤ・ホーク(左)&ジア・コッポラ(右)
Getty Images

フランシス・フォード・コッポラの孫ジア・コッポラ監督の長編第2作で、アンドリュー・ガーフィールドが主演を務め、人気YouTuberへと駆け上がろうとする若者たちの野心と狂気を描いた「メインストリーム」が公開された。主人公のYouTuber、リンクに影響されるフランキー役を演じたのは、ユマ・サーマンイーサン・ホークを両親に持つマヤ・ホーク。第77回ベネチア国際映画祭に出席したふたりのインタビューが公開された。

ロサンゼルスで暮らす20代の女性フランキーは、映像作品をYouTubeで公開しながら、バーで働き生計を立てていた。そんなある日、天才的な話術を持つ男性リンクと出会った彼女は、リンクのカリスマ性に魅了され、本格的に動画制作を始める。破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は注目を集め、リンクは瞬く間に人気YouTuberに。しかし「いいね!」の媚薬は、いつしかリンクの人格をむしばんでいく。

画像2(C)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.
――本作はインディペンデント映画ならではの自由で大胆な作りだと思今す。あなたのお父様(イーサン・ホーク)もインディペンデント映画によく出演されていますが、作品選びや映画のテイストに関して影響を受けていらっしゃいますか。
マヤ・ホーク(M):もちろんです。父をスクリーンで観るのは喜びです。ここ、ベネチアにも以前連れてきてもらったことがあります。「ビフォア・サンセット」か「ビフォア・ミッドナイト」のときだったか、まだ私が小さい頃でした。映画に関する影響は、父と母、両方から受け継いでいます。映画が好きで、俳優の仕事が好きな人なら誰でも、自由にクリエーションができる場所というのを望むものでしょう。たとえお金が少なくても、クリエーションの自由がある方が大事だと思う。もちろんそうではない人もいるかもしれませんが、私の両親はそういう考えで、私自身もそれを受け継いで今す。私にとって両親の影響というのはとても大きいですね。
――あなたはそうしたアーティスティックな環境に育ち、早くからこの仕事を始めたわけですが、当時はどんなことを覚えていますか。また、自分の見方をしっかり持っているという印象もありますが、どのようにそうした見方が育ったのでしょうか。
M:特別な家庭というわけではないと思うのですが、ただボヘミアンな家族で、私たちにとってアートはとても重要でした。スタジオのセットで育つことが多かったです。そこは私にとって、とても快適に感じられる場所でした。

でも最初は写真に興味があり、写真から始めました。そのあとで映像制作に移行するのは、私にとって自然なことでした。私はチャレンジが好きです。映画制作は私にとってチャレンジであると同時に、映像、音楽、ストーリー、コスチュームといった私が好きな要素がたくさん詰まっている。だからとても自然に移行した感じです。

画像3(C)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.
――両親と同じ職業に進むのも、自然なことでしたか。
M:親と同じ職業を選ぶ人は少なくないと思います。というのも、それはもっともよく知る世界で、もっとも理解できる世界だから。とても恵まれたことですが、情報にアクセスできる手段もある。だからこの業界でも、親が俳優という人は多いと思いますが、この業界の特別なところは、多くの場所があるわけではないところです。それだけに大変な世界ではあるけれど、私の両親はそういう点も含めてよく話しをしてくれるし、すごく自分が守られた場所にいると感じることができる。それは本当に恵まれたことです。でも私はそれが当たり前のことだとは思っていません。自分はすごく恵まれた立場にあると認識しています。
――本作はソーシャルメディアに夢中な若者たちの世界を描いて今すが、なぜこのような映画を作ろうと思ったのでしょうか。
ジア・コッポラ(G):私は自分が感じられないことを映画にはできないのです。ただ映画を作るということが目的なわけではありません。この映画では、私がふだん目にして感じていること、それをあるフォームを通して描きたいと思ったのです。ソーシャルメディアに関して、人に教えを説きたいわけでもありません。私自身が興味を惹かれている題材であるし、つねに進歩している事柄で、そこで何が起こっているか、そのストーリーを語りたかったのです。
M:この映画は、見る人に意見を押し付けるようなものではなく、いろいろな可能性があるなかでひとつの仮定を描いているのだと思います。たとえばグリム童話のようなおとぎ話のように、巨大なソーシャルメディアの世界におけるダークな寓話です。アートと私たちの関係が、いかにソーシャルメディアによって影響されるかというトピックについて。クリエイターとビューワーが密接な関係を築くとき、ビューワーはとても重要な存在になります。テレビショーなどもそうですね。あるいはファンが書いたことがとても重要で、テレビシリーズなどでこのキャラクターたちが一緒になって欲しくないとみんなが言えば、脚本家はそれを尊重するかもしれない。だから今日、ソーシャルメディアが影響を持つ世界で、彼らの意見がクリエーションに大きな影響を与える。それはとても複雑な状況です。そしてこの映画のテーマは、ビューワーの意見に自分が妥協することなしに応じることはできるか、ということ。それは厄介な問題で、この映画は答えを与えるものではありません。

「妥協なしに応じることはできない」と言うのは簡単ですが、フランキーとリンクにとって、彼らがやっていることはアートと言えないかもしれないけれど、それでも彼らは何かをクリエイトしているわけで。複雑で危険で感情移入できるもので、それは彼ら自身の声である。たとえ人の気分を害したり、自分を見失ったりしても、彼らが誰であるかということの表現であるし、プロセスである。でもリンクを映すフランキーにとって、結果的に、それはフランキー自身の声ではありません。彼女はリンクの陰の存在となり、彼女自身の声はかき消されていく。紆余曲折を経て、最後に彼女はそれに気づくのです。だからこの物語は彼女の旅であり、彼女が学ぶこと。でももちろん、彼女の立場に立たされた人がみんなフランキーのように学ぶとは限らないですが。

画像4(C)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.
――おふたりにとってソーシャルメディアとの関係は、この映画を作ることで変わりましたか。
G:少なくともこの映画を作ることで、自分がふだん考えたり感じたりしていることを表現できたという感覚はあります。胸にわだかまっているものを解放できたというか。ただ、私はソーシャルメディアに完全に否定的なわけではありません。私自身インスタグラムもやっているし、いろいろなプラットホームがあってそれがどんどん変化していくことは魅力的です。もともと写真は好きだし、それをシェアするというアイディアは好きです。
M:私がソーシャルメディアで好きな点は、自分自身の物語をコントロールできるところです。もしそれが公衆の前であれば、意図的に決めるのは難しい。でもソーシャルメディアの場合、自分の物語は自分の手のなかにある。自分のパーソナリティ、キャラクター、自分の価値、そういうものを自分でコントロールすることができます。ある意味、素晴らしい媒介の手段だと。たとえば今日、ここに居る写真を私が載せるとする。綺麗に映ったものを載せるか、それともふざけたおバカなものを載せるのか。そのチョイスは私の手の中にある。どんなパーソナリティを人に見せるのかをコントロールできるのは楽しいことです。

自分のインスタで、といっても私にはそんなにフォロワーがいるわけではないですが、そこでこの映画のことを喋って、みんなの関心を引くことができる。自分のキャリアや、自分が携わったアートについて、人々に伝えることができる。素晴らしいツールであり、利点です。ただ、私はクリエイティブでありたいし、俳優でありたい。“パーソナリティ”になりたいわけではありません。もちろんセレブである、ということ自体が悪いわけではないけれど、それは私の望むものではない。そこにエネルギーを使いたくはないのです。インスタによって、経済的、クリエイティブな力が得られるならいいと。どのような使い方がいいのかは、今も日々考えていることです。

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