トンコハウス最新作「ONI」の脚本を「あの花」「ここさけ」岡田麿里が担当 言語の壁を超えて抜てき
2021年9月30日 14:00

「ダム・キーパー」や「ムーム」などで知られるアニメーションスタジオのトンコハウスが手がける新作「ONI」の脚本を、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがっているんだ。」の岡田麿里が担当することがわかった。また、同作のファーストルック(作品ビジュアル)も公開されている。
同作は、米カリフォルニアと石川県の金沢に拠点を置き、国際的な作品制作を行うトンコハウスが、Netflixをパートナーとして手がけるアニメーション・イベント・シリーズ。日本の民話をモチーフに、変わり者の神さまや妖怪たちが暮らす世界で、伝説に語り継がれる偉大な英雄に憧れるおてんば娘・おなりが、迫りくる“ONI”の脅威から平和な山を守るべく奮闘する姿を描く。

日本人脚本家である岡田の抜てきは、英語を主要言語として、最終脚本も英語となるトンコハウスの制作体制のなかでは異例の試み。監督の堤大介は「岡田麿里さんは言語に関わらず以前から大好きな脚本家でした。すでにたくさんすばらしい作品を書いてきた人ですが、何より、キャラクターの闇と光を隠さず書ける人であるところが、僕にとって大切なクオリティでした」と起用の経緯を語った。

岡田は「トンコハウスと仕事をするのは、期待とともに不安もありました。言葉の壁、アメリカと日本のアニメ制作の違いなど、自分に乗り越えられるだろうかと」とオファーを受けた当初の心境を明かし、「でも、そんな不安も『ONI』の企画書を見せてもらって吹っ飛びました。堤大介監督の個人的な過去にてらいなく迫った物語は、私にも重なる部分が多く、なおかつ多くの人に『これは自分の物語だ』と感じてもらえるはずだと」と企画への手応えを語った。本記事の最下段に、堤監督と岡田からのコメント全文を掲載する。
なお、10月23日午後1時から、堤監督と岡田によるオンライントークイベントが開催されることも決定した。2人が脚本制作の舞台裏や、日本各地でのリサーチ、言語の壁、「ONI」への思いなどを語る。観覧にはトンコハウスが主催するオンラインコミュニティ「Dirty Pals」への入会が必要で、会費は月額1650円(税込)。

・ファーストルックについて
このユニークなストーリーに相応しいビジュアルを探るため、手書きやコマ撮り、CGなど色々な手法を試し追求した結果このルックに辿り着きました。日本の伝統的な民芸にあるような作り手の温もりが伝わる手作り感にこだわり、トンコハウスにとって重要な色と光の演出にこだわっています。
まずは英語の作品を日本語の脚本でスタートするという前例のない座組みをサポートしてくれたNetflixに感謝します。
岡田麿里さんは言語に関わらず以前から大好きな脚本家でした。すでにたくさんすばらしい作品を書いてきた人ですが、何より、キャラクターの闇と光を隠さず書ける人であるところが、僕にとって大切なクオリティでした。実際一緒にやってみて旧友のように意気投合し、いろんな意見をぶつけ合いながら素敵な脚本を書いていただきました。
トンコハウスと仕事をするのは、期待とともに不安もありました。言葉の壁、アメリカと日本のアニメ制作の違いなど、自分に乗り越えられるだろうかと。でも、そんな不安も『ONI』の企画書を見せてもらって吹っ飛びました。堤大介監督の個人的な過去にてらいなく迫った物語は、私にも重なる部分が多く、なおかつ多くの人に「これは自分の物語だ」と感じてもらえるはずだと。どんなに難しい問題が起きたとしても、絶対にやりたいと覚悟が決まりました。
現場がはじまって。立場は関係なく活発な議論が交わされ、それがあらかじめ製作工程の中に組みこまれていることに驚きました。日本では、各々が専門をつきつめていくことが重んじられていて、他分野の人からの意見を聞ける機会があまりないのです。脚本にいろんな人からアドバイスをもらえ、逆に演出面や絵などで意見を求められることで、離れた場所で仕事をしていてもチームを身近に感じました。言葉についても、監督とトンコハウスが万全の体制をとってくれて、脚本作業に没入できました。そしてなにより、物語の根っこにある大切にすべき部分は、どこの国でも変わらないのだと信じられました。チームONIの一員になれたことが、本当に幸せです。
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