父が女性になって、両親が離婚 10代の少女の視点で描く温かな家族の物語「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」12月公開
2021年8月31日 13:00

デンマーク・アカデミー賞で9部門にノミネートされ、メイクアップ賞、児童青少年映画賞を受賞した「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」が、12月24日から公開される。
女優として活動したのち、数多くの短編映画を発表してきたマルー・ライマン監督の初長編作。90年代末を背景にした家族の物語で、11歳の時に父親が女性になった経験を持つライマン監督の自伝的な作品だ。実体験に基づくエピソードをちりばめて、主人公エマの複雑な感情を繊細かつリアルにすくい取っていく。
近年、世界中でセクシュアル・マイノリティの多様性や人権に光をあてた映画が盛んに作られているが、本作はトランスジェンダーをカミングアウトする当事者ではなく、その娘である少女の視点で全編が語られる。エマ役を演じたカヤ・トフト・ローホルトは本作が映画デビュー。多感な時期に両親の離婚とパパからトランスジェンダーであることを打ち明けられる役柄だが、ナチュラルな存在感とリアクションで見事に体現している。
パパのトマス/アウネーテ役に扮したのは、「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(12)や「ヒトラーの忘れもの」(15)などで知られる実力派俳優ミケル・ボー・フォルスガード。ライマン監督は、トマス/アウネーテの役は男性でもあり女性でもあることを示したかったと言い、男性の身体から自身の女性性を見出すことができるような身体性を持った人を探すことが重要だったため、当初からトランスジェンダーの役者の起用は考えたことがなかったと語っている。
デンマークの郊外で暮らすエマは、地元のサッカークラブで活躍する11歳の女の子。幸せな家庭で充実した日々を送っていた。ところがある日突然、両親から離婚すると告げられたことで彼女の日常が一変する。しかも離婚の理由は「パパが女性として生きていきたい」だった。
ホルモン治療によって日に日に女性らしくなるパパのトマスが、やがて性別適合手術を受けるという現実をエマは受け入れられず、ひとり思い悩んで寂しさを募らせ、時にはやるせない苛立ちを爆発させる。「大嫌い。パパなんか死んじゃえ!」。そう叫びながらも、本当はパパのことが大好きなエマが、幾多の葛藤の果てに自分の気持ちに気づく。
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