焼けただれた体でさまよう親子「8時15分 ヒロシマ 父から娘へ」原爆炸裂直後の“火の海”映像公開

2021年7月22日 09:00


原子爆弾を至近距離で被爆した父の凄絶な体験を映画化
原子爆弾を至近距離で被爆した父の凄絶な体験を映画化

広島に投下された原子爆弾を至近距離で被爆した父の凄絶な体験を綴った美甘(みかも)章子のノンフィクションを映画化した「8時15分 ヒロシマ 父から娘へ」。美甘氏が「原爆炸裂直後の火の海の映像は、父の証言を念入りに聞いてなるべくリアルに表現するよう、監督やCG専門家と話し合いを重ねて、臨場感溢れる映像になったと思います。まるで自分が1945年8月の広島にいるような錯覚を体験しました」と語る、目を覆いたくなるような凄惨な“火の海”の映像と場面写真が公開された。また、本作が広島市の平和教材に採用されることが決定した。

「8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心」の著者美甘が、自らエグゼクティブプロデューサーを務め、地獄のような状況にあっても生きることを諦めなかった父の思いと、父から娘へ受け継がれた平和へのメッセージを描く。J.R.ヘッフェルフィンガー監督やプロデューサーら30代の若いアメリカ人が原爆の真実に取り組んだ。

1945年8月6日、広島。父とともに建物疎開の準備をしていた19歳の美甘進示は、自宅の屋根に上り瓦を剥がしていた。その時、激しい光が進示を襲い、一瞬にして暗闇の中へと突き落とす。世界で初めて投下された原子爆弾は広島中を焼き尽くし、7万人以上もの命を奪った。焼けただれた体を引きずりながら助けを求めてさまよう進示は、激痛から解放されたい一心で死さえ願うが、父の力強い言葉に支えられ、懸命に前へ進むのだった。それから40年後、進示の平和への願いが形となってニューヨークの国連本部に届く。しかしその数年後、ニューヨークを訪れた進示の娘・章子は驚くべき事実を知る。

美甘プロデューサーは、7月20日に湯崎英彦広島県知事および松井一實広島市長を表敬訪問した。手弁当で映画化した作品の全国公開を成し遂げ「被爆体験を継承できる人が減っている中、私たちの世代が発信しなければいけない」と会見で語った。また、広島市では平成25年度から、全市立小・中・高等学校において平和教育プログラムを導入し、児童生徒が被爆の実相などを学んだ後に、継承・発信へとつなぐ市独自のプログラムを推進しており、その教材として広島市の平和教材に本作および、被爆2世美甘章子が世界へ平和メッセージを発信する継承活動、インタビューなどが取り入れられることとなった。東京K's cinemaで7月31日~、広島八丁座は8月6日~、ほか今夏全国順次公開。

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