日本にルーツを持つ人々を「スパイ」呼ばわり 日系移民強制退去事件をひも解くドキュメント「オキナワサントス」予告
2021年6月29日 12:00
第2次世界大戦時のブラジルであった日系移民強制退去事件をひも解きながら、埋もれた史実を明らかにしていくドキュメンタリー「オキナワサントス」が、7月31日から沖縄・桜坂劇場で先行上映、8月7日からシアター・イメージフォーラムほか全国で公開される。
第2次大戦前夜から戦中にかけ、ブラジルのジェトゥリオ・ドルネレス・バルガス政権は枢軸国にルーツを持つ約20万人の日系移民に対し、日本語新聞の廃刊や日本語学校の閉鎖、公の場での日本語の使用禁止などを命じる。そして1943年7月8日、南東部の港町サントスに暮らす日系とドイツ系の移民が強制退去させられ、収容所に送られるなどしてコミュニティは離散した。しかし、この出来事はタブー視され、戦後長らく日系人社会で語られることがなかった。「花と兵隊」でタイやビルマの未帰還兵たちの現在を追った松林要樹監督が、強制退去させられた日系人の多くが沖縄からの移民だった事実に着目、生存者に取材を重ね、知られざる歴史を明らかにしていく。
予告編では「日系移民強制退去事件」を経験し、晩年を迎えた人々の証言が綴られる。当時まだ幼かった彼らは、日本にルーツを持つというだけで「スパイ野郎」と呼ばれたという。また、ある男性は「あの強制退去事件について他人に話したことはありません…」と重い口を開いた。なぜ人々は口を閉ざし続けてきたのか? いったい何が起きていたのか? その真実が気になる映像だ。
東京オリンピックが開催されようとしているが、今も世界各地で移民や難民の排除が起きている。
具体例を挙げるまでもなく、日本政府はもちろん、一般のいわゆる日本人が難民や移民に対して決して寛容だとは思えない。
この映画の撮影を開始した2016年には、今のようなパンデミックな世の中になっていることは予想すらできなかったが、不寛容な社会になっていることは想像できた。
戦時中、地球の裏側のブラジルで起きたことは、日本がアジアでとった軍事行動の裏返しだったと考えるようになった。
時として戦争の加害者と被害者とが表裏一体になることがあると思う。
だから戦時中に日系ブラジル人が経験したことは、遠い国の昔の話ではなくて、現代にも通じる普遍的な教訓になる出来事だと信じている。
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