30代米国人が原爆の真実に取り組む「8時15分 ヒロシマ 父から娘へ」“黒い雨”本編映像 広島市長がコメント
2021年5月30日 08:00
広島に投下された原子爆弾を至近距離で被爆した父の凄絶な体験を綴った美甘(みかも)章子のノンフィクションを映画化した「8時15分 ヒロシマ 父から娘へ」。“黒い雨” に打たれる少年を幻想的に映像化した本編映像が公開された。
「8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心」の著者美甘が、自らエグゼクティブプロデューサーを務め、地獄のような状況にあっても生きることを諦めなかった父の思いと、父から娘へ受け継がれた平和へのメッセージを描く。
1945年8月6日、広島。父とともに建物疎開の準備をしていた19歳の美甘進示は、自宅の屋根に上り瓦を剥がしていた。その時、激しい光が進示を襲い、一瞬にして暗闇の中へと突き落とす。世界で初めて投下された原子爆弾は広島中を焼き尽くし、7万人以上もの命を奪った。焼けただれた体を引きずりながら助けを求めてさまよう進示は、激痛から解放されたい一心で死さえ願うが、父の力強い言葉に支えられ、懸命に前へ進むのだった。それから40年後、進示の平和への願いが形となってニューヨークの国連本部に届く。しかしその数年後、ニューヨークを訪れた進示の娘・章子は驚くべき事実を知る。
原爆を題材とした映画であるが、米ナッシュビル映画祭2020 では、若い審査員に圧倒的な支持を得て観客賞を受賞した。ポンテ審査委員長は「映画を観なければ知る術のなかった大切な史実を知ることができるのだ」と絶賛。世界的評価も高く、ハリウッド映画化への準備が進められている。
松井一實広島市長は「原爆による悲惨な体験をしながらも生きることを諦めなかった美甘進示氏が娘の章子氏に託した思いは、この映画の中で見事に表現され、『許す心』と『助け合い』の大切さが人類への根源的なメッセージとして強く訴え掛けてきます」とコメント。そして、八丁座の蔵本健太郎支配人は「世界中の人たちに、今こそ観ていただきたい、見るべき映画です」と力を込める。日本に2年住んだ経験があるJ.R.ヘッフェルフィンガー監督は「1945年8月6日の出来事は、歴史の教科書には白黒写真や史実や統計が史上の多くの悲劇の一章としてしか載っていませんが、私は実際の被爆者の経験に心を動かされ、戦争の怖ろしさと何者にも負けない親子間の愛情、逆境を乗り越える人間の魂の力強さと思いやりや赦す心の力を描きました」と述懐する。
米ナッシュビル映画祭ポンテ審査委員長、ヘッフェルフィンガー監督、レ・フュインプロデューサーら、30代の若い世代が、日本の原爆の真実を受け入れ映画化に取り組んだ。美甘氏は「多くの外国人は、『原爆投下があったから戦争が終わった』と信じています。我々日本人でさえ、そう思っている人も多いでしょう。この映画を世界に発信することによって、ご覧になった方がそういった認識をもう一度みつめ直すきっかけになれば良いと思います。ニューヨークの映画制作スタッフは全員が30代で、制作中に原爆投下の意義に関してそれまで学校などで習っていたことをもう一度見つめ直し、『こんなひどいことは、いかなる理由があれ2度とあってはならない』と、この映画が世界へ発信する平和へのメッセージ制作のために全身全霊を込めてくれました」と語っている。
新宿・K's cinemaで7月31日から、広島・八丁座で8月6日より上映され、今夏に全国順次公開。
核兵器のない平和な世界の実現のため、私たちは被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という切なる願いを世界の人々に広げるとともに、次の世代にも確実に受け継いでいかなくてはなりません。
原爆による悲惨な体験をしながらも生きることを諦めなかった美甘進示氏が娘の章子氏に託した思いは、この映画の中で見事に表現され、「許す心」と「助け合い」の大切さが人類への根源的なメッセージとして強く訴え掛けてきます。私たち一人ひとりがそれを深く胸に刻み、日常生活の中で平和について考え行動することで、人間の暴力性を象徴する核兵器は要らないという声が市民社会の総意となり、核のない世界に向けての歩みが確実なものになると確信しています。
一人でも多くの人が、この映画を通じて、平和の尊さ、ありがたさを実感し、そしてそれを持続していくために何ができるのか考え、行動していただくことを期待しています。
昨年の公開直前まで、じつは名前も知らない映画でした。しかし、映画を観させていただき、中編映画ではありますが、美甘さんの「伝えなければ」という使命感に圧倒され、急遽上映を決定しました。
昨夏、被爆75周年の節目の8月に、絶対に広島で公開しなければいけない、世界に先駆けての公開でした。
ほとんど宣伝もできず、急な上映にもかかわらず、たくさんのお客様がおこしくださいました。原爆の体験を伝えるだけではなく、本当に伝えたいテーマが「許しの心」というところが、すごいと思います。
ドキュメンタリーですが、再現ドラマ中心なので、とてもわかりやすいし、ダイレクトに生のメッセージが伝わってきます。映画としてのクオリティの高さにも驚きました。
世界中の人たちに、今こそ観ていただきたい、観るべき映画です。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
【推しの子】 The Final Act NEW
【忖度なし本音レビュー】原作ガチファン&原作未見が観たら…想像以上の“観るべき良作”だった――!
提供:東映
物語が超・面白い! NEW
大物マフィアが左遷され、独自に犯罪組織を設立…どうなる!? 年末年始にオススメ“大絶品”
提供:Paramount+
外道の歌 NEW
強姦、児童虐待殺人、一家洗脳殺人…地上波では絶対に流せない“狂刺激作”【鑑賞は自己責任で】
提供:DMM TV
全「ロード・オブ・ザ・リング」ファン必見の超重要作 NEW
【伝説的一作】ファン大歓喜、大興奮、大満足――あれもこれも登場し、感動すら覚える極上体験
提供:ワーナー・ブラザース映画
ライオン・キング ムファサ
【全世界史上最高ヒット“エンタメの王”】この“超実写”は何がすごい? 魂揺さぶる究極映画体験!
提供:ディズニー
映画.com編集部もドハマリ中
【人生の楽しみが一個、増えた】半端ない中毒性と自由度の“尖った映画”…期間限定で公開中
提供:ローソンエンタテインメント
【衝撃】映画を500円で観る“裏ワザ”
【知って得する】「2000円は高い」というあなただけに…“超安くなる裏ワザ”こっそり教えます
提供:KDDI
モアナと伝説の海2
【モアナが歴代No.1の人が観てきた】神曲揃いで超刺さった!!超オススメだからぜひ、ぜひ観て!!
提供:ディズニー
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。