「砂の女」「他人の顔」名匠・勅使河原宏の偉業を振り返る! シネマヴェーラ渋谷でメモリアル映画祭開催
2021年5月7日 14:00
独特の映像手法で人間の奥深い内面心理を描き続け、世界的にその名を轟かせる名匠・勅使河原宏。逝去から20年を経た2021年6月、“作家・勅使河原宏”を再検証する特別企画が実現する。「上映×放送×出版」とメディアを横断し、改めてその魅力に迫る。
1927年、長男として東京に生まれた勅使河原監督。50年、東京美術学校(現:東京芸術大学)美術学部油画科を卒業。在学中より岡本太郎、安部公房らを知り、前衛芸術運動「世紀」に参加している。53年、美術映画「北斎」を初監督。亀井文夫監督に師事したのち、劇映画第1作「おとし穴」で、62年度NHK新人監督賞受賞、ATG初の日本映画監督となる。「砂の女」「他人の顔」「燃えつきた地図」など安部公房の原作を映画化し、シュールで独特な映像美によって高い評価を獲得した。
58年には草月アートセンターのディレクターに就任し、ジャンルを超えた芸術・文化活動を推進した。80年には草月流第三代家元となり、89年には、映画「利休」でモントリオール世界映画祭最優秀芸術貢献賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞。92年、96年、フランスとスイスにおいてオペラ「トゥーランドット」舞台美術と演出。94年、アビニョン演劇祭において創作能「スサノオ」の舞台美術と演出。陶芸や書にも才能を発揮し、おう盛な創作活動を展開し、92年には映画「豪姫」を監督。フランス政府からの芸術文化勲章のほか、紫綬褒章、勲三等瑞寶章を受章。01年、白血病のため、享年74歳で亡くなっている。
東京・シネマヴェーラ渋谷(http://cinemavera.com/)では、前衛芸術家の才能を集結した勅使河原の映画作品に加え、異形のテレビドラマ「座頭市」、初公開となるイベント記録映像を上映するメモリアル映画祭「没後二十年記念 アートを越境する――勅使河原宏という天才」を6月5~18日に開催。トークショーも行われ、6月5日に高橋悠治氏(聞き手:高崎俊夫)、6月6日に宇川直宏氏と樋口尚文氏、6月12日に石井岳龍監督と長嶌寛幸氏が登壇する。
時代劇専門チャンネル(https://www.jidaigeki.com/)では、豪華キャストの風格と絢爛な衣装、美術で描く代表作「利休」(チャンネル初)、勝新太郎がその才能に惚れ込みラストを託したテレビドラマ「新・座頭市III」(第26話:夢の旅)を放送する特別企画「没後20年 映像で魅せる奇才 勅使河原宏の描く時代劇」、貴重な監督デビュー作となる記録映画「北斎」がテレビ初登場。6月26日の午後9時から全3作品が一挙放送される。
宮帯出版は、勅使河原監督に縁の深いキャスト・スタッフなどのインタビュー、気鋭の批評家、映画評論家が作品の魅力、総合芸術家としての人間力を徹底分析した書籍「フィルムメーカーズ22 勅使河原宏」を刊行。当時の貴重なコラムや、詳細な書誌情報、フィルモグラフィなど網羅し資料価値も高く、映画ファン、関係者必携の1冊となっている。6月5日発売予定。価格は、2700円(税抜き)。
「砂の女」
「他人の顔」
「サマー・ソルジャー」
「インディレース 爆走」
「アントニー・ガウディー」
「ホゼー・トレス」「ホゼー・トレス PartII」
「十二人の写真家」
「燃えつきた地図」
「利休」
「豪姫」
「北斎」「いけばな」「いのち」「動く彫刻 ジャン・ティンゲリー」
短編集2
「東京 1958」「白い朝」「1日240時間」
「新・座頭市III 25話 虹の旅」
「新・座頭市III 26話 夢の旅」
「われらの主役 勝新太郎」
「二人展」
「石月花の宴」
「トゥーランドット」
「すさのお異伝」
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内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。