くまもと復興映画祭2021、開幕! 行定勲監督が高良健吾が並々ならぬ熱情を明かす
2021年4月17日 11:00
写真:菊池幸三映画監督・行定勲氏がディレクターを務める「えがおPRESENTSくまもと復興映画祭2021」が4月16日、熊本市の熊本城ホール シビックホールで開幕した。
「映画の力で、何ができるか」という思いのもと菊池映画祭からスタートした同映画祭は、2016年4月14日、16日に起きた熊本地震後、「映画の力で、熊本をどれだけ勇気づけられるか」という新たな目的が加わり、くまもと復興映画祭として今年で5年目を迎えた。
5年前の熊本地震だけでなく、新型コロナウイルス、令和2年7月豪雨、度重なる難局に立たされながら映画祭を開催することは決して簡単なことではなかったが、行定監督は「難局を乗り越えてきたことで生まれた熊本の人たちの連帯感、その連帯感に後押しされ、絶対に映画祭をやり遂げるんだという強い思いが生まれました」と、市民の頑張りが映画祭の開催に繋がったと語る。

マスク、手洗い、密を避けるという基本の対策に加え、映画祭関係者、スタッフ、ゲストは全員抗原検査を受けて映画祭に臨んだ。現状を鑑みて諦めるのではなく、何ができるかを模索することで、これからのエンタテインメントの在り方を提示してみせた。また、映画祭のオープニング前には、熊本地震が起きた3日間の出来事を描いた、行定監督作「いっちょんすかん」(18)を上映。上映後には、地震で犠牲となった方々に哀悼の意を表し、会場全員で1分間の黙祷を捧げた。
同映画祭実行委員会名誉会長、大西一史熊本市長の挨拶にも映画の力を信じるメッセージが込められていた。「5年前を思い出すと、まだ胸がドキドキしますが(動悸を覚えますが)、素晴らしい映画をこの3日間で楽しんでいただき、心の復興をぜひ成し遂げていただきたい」という開会宣言によって映画祭は幕を開けた。

上映ラインナップは、行定監督によって珠玉の9作品が選ばれた。オープニング上映作品は、松居大悟監督の新作「くれなずめ」(20)。松居監督、高良健吾、成田凌(リモートでの参加)がゲストとして登壇。映画祭3回目の参加となる松居監督は今作完成直後、行定監督に「観てほしい」と連絡したという。鑑賞した行定監督は、すぐに「配給のOKが出ていない段階でしたが、これはもう映画祭のオープニング作にしたいと思った」と絶賛する。
主人公は高校時代につるんでいた6人の仲間たち。5年ぶりに友人の結婚披露宴で余興をすべく集まり、学生時代のような楽しい時間を過ごすけれど、彼らには認めたくないことがあった。それはアイツが死んだこと──。

もともとは松居が主宰の劇団ゴジゲンで公演された舞台だが、あまりにも個人的な題材のため映像化は考えていなかったという。「映画に耐えうる強度があるとは思っていなかったけれど、舞台を観に来てくれたプロデューサーが『映画にしてたくさんの人に届けるべき』と言ってくださって。個人的な感情のまま映画にしようと思いました」。
行定監督は「何かを喪失して、どうしても前にすすめない状況は誰にでもあって、熊本もそういう状況を乗り越えてきた。この映画の登場人物たちにも乗り越えなければならない試練があります。そして、未来を生きていくその道に光を与えるような感動がこの映画にはありました」とオープニング作に選んだ理由を語った。
さらに「悔しいくらいキャスティングが素晴らしい。俳優たちの魅力が存分に出ている」と行定勲がベタ褒めするのは、成田、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、高良の6人だ。成田いわく「撮影現場は、まるで中二男子の集まりのような雰囲気だった」そうだが、30代の高良は、それまでとは違う演技を試みたと明かした。

「撮影に入る前に3、4日稽古があって、その時、みんなの演技がとてもナチュラルで、(かつての自分を見ているような)懐かしさも感じたんです。僕自身は30代になって、彼らのようなナチュラルな演技から変わりつつあったので、その変化をこの作品で演じてみようと思いました」。
また、この映画のセリフには、引きずることから逃げるな、曖昧な部分を大切に、白黒つけなくてもいいこともある……というような印象的な言葉も多く、高良は「そういうセリフも、くまもと復興映画祭に当てはまると思う」とメッセージを残した。
地方の映画祭で封切り前の映画の上映は難しいものだが、今回は「くれなずめ」をはじめ「サマーフィルムにのって」「彼女来来」「由宇子の天秤」など、公開待機作が一足早く上映されることからも、同映画祭が着実に成長している証といえる。「えがおPRESENTS くまもと復興映画祭2021」は、4月18日まで熊本城ホール シビックホールで開催中。
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