【「ブータン 山の教室」評論】映画に癒される体験。秘境ブータンの自然が、人々が素晴らしい
2021年4月4日 09:00
非常に珍しいブータンの映画です。ブータンは、ヒマラヤ山脈を望む山岳地帯にある、人口70万人ほどの小さな国です。国王が、GDPやGNPではなく、GNH(Gross National Happiness・国民総幸福量)が大事なんだと提唱し、国外には「世界一幸せな国ブータン」とアピールするなど、とてもユニークな国です。
私も一度だけブータンを訪れたことがありますが、人々はみな民族衣装なのに、英語をとても流ちょうに話すというギャップに大変驚きました。
主人公は、そんなブータンの首都ティンプーで教職課程を学ぶ青年。彼は、オーストラリアに移住する夢を持ち、教職そっちのけで毎晩クラブ通いの日々。勉強もイヤになってドロップアウトしていたところ、当局に呼び出され、山間の村に教育実習に行くよう命じられます。その村は、首都からバスで半日、そこからさらに徒歩で6日間かかるというもの凄い僻地。
観客はまず、この徒歩と荷物運びのヤクによるトレッキングのような旅に癒されます。山の絶景、谷の絶景、動物たち。ブータンは実に風光明媚なところです。そして旅の後は、人々とのふれあいに癒されるのです。
人口が56人しかいない寒村で、青年は温かく迎えられ、どんどん人々の中に溶け込んでいきます。「世界ウルルン滞在記」を彷彿とさせますが、そこまでベタじゃない感じがグッド。とにかく、ブータンの自然が、人々が素晴らしい。特に子どもたちの表情がみな素敵ですね。この国には、悪人とか犯罪という概念すら存在しないかのようです。貧しいけれど、ここは「世界一幸せな国」なんだと映像が語っています。
ストーリーのコアには「歌」と「歌声」が据えられています。山がちな村に、広大な風景が組み合わさると、心の底から自然と歌が湧いてくる。人々は歌声で時を伝え、気持ちを伝え、歌詞を次の世代に繋ぎます。大昔、日本にもこういう村や、こういう文化があったんだろうな、とある種の懐かしさがこみ上げます。そう、山の多い国土に住む日本人だから共感を覚えやすい。
海外旅行もままならない時期、是非、この映画でアジア屈指の秘境を旅し、絶景と、そこに暮らす素敵な人々にふれてみてください。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【この最新作を観るべきか?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】本当に放送していいのか…!?不適切報道か否か?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【死を迎える時、どんな最期を選びますか?】“人生の終わり”と“生きる喜び”描く、珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
開始20分で“涙腺決壊”
【激しく、心を揺さぶる超良作だった…!】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれる!
提供:ディズニー