弁護士交代の立役者にもなった――フランスの迷宮入り事件を描く「私は確信する」監督の“情熱”
2021年2月6日 10:00

2000年に3人の子どもを残して、突然失踪したスザンヌ・ヴィギエ事件は、フランス全土を揺るがした迷宮入り事件として記憶されている。夫ジャックは失踪届を出すも、すぐに彼自身が殺人の容疑者として拘留され、その後無罪を勝ち取るまで、じつに10年の歳月が流れた。
この有名な事件を真っ向から扱い、息詰まる裁判ものに仕立てたのが、新作「私は確信する」だ。監督はこれが初長編であるアントワーヌ・ランボー。これまで短編制作や映画編集を手がけてきた彼は、自身この事件にのめり込み、実際にヴィギエ家と交流するなかで弁護士交代の立役者ともなったほど。根っからの映画好きでヒッチコックや黒澤明に影響を受けたランボー監督の情熱は、フランス映画界ではあまりポピュラーではないこのジャンルに、大きな貢献を果たすことになった。

本作中、唯一架空の人物であり、監督の分身ともいうべき視点を担ったヒロイン、ノラに扮したフランスの人気女優、マリーナ・フォイスとともに、ランボー監督に本作について語ってもらった。(取材・文=佐藤久理子)

人々の好奇心をくすぐるという点で、ヴィギエ事件はその最たる例だ。250時間に及ぶ通話記録には、スザンヌの愛人が、ジャックが犯人であると周りに吹聴するさまや、法廷での証言とは食い違うベビーシッターの会話など、疑惑をさらに深めるような内容が記録されている。映画では、これらすべての記録をノラが聴き、検察と法廷で火花を散らす弁護士デュポン=モレッティの片腕となっていく。裁判長がヒッチコックの映画を引用するが、驚いたことにこれも現実の通りだと監督は語る。

司法の盲点、正義と真実、人間の不透明さについて観る者に語りかける、骨太な裁判映画である。
「私は確信する」は2月12日から公開。
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