【ホラー映画コラム】 「流出!発禁動画」心霊ビデオ界隈ではトップレベルで怖い隠れた傑作
2020年12月19日 20:00
Twitterのホラー界隈で知らぬ者はいない人間食べ食べカエル氏(@TABECHAUYO)によるホラー映画コラム「人間食べ食べカエル テラー小屋」では、“人喰いツイッタラー”が、ホラー映画専門の動画配信サービス「OSOREZONE」の配信中のオススメ作品を厳選し、その見どころを語り尽くす! 今回は、食べ食べさんが「あまり名は知られていないけど個人的にトップレベルで怖いと思っている」と推す「流出!発禁動画」をご紹介。
心霊ディレクターの寺内康太郎氏が、「心霊玉手匣」の岩澤ディレクター等あらゆる名スタッフたちを集めて作り上げた、心霊アベンジャーズというべき大作「心霊マスターピース」第2弾の放送が開始となり、今かなり盛り上がっている心霊ビデオ界隈。今回は、そんな心霊ビデオを私も密かに応援すべく、あまり名は知られていないけど個人的にトップレベルで怖いと思っている隠れた傑作「流出!発禁動画」を紹介したい。
「年間1,000本は送られてくるという心霊動画。実は、それは霊能力者監修のもとで選定されていることを知る者は少ない。中には霊能力者の強い意向で収録が見送られた作品も数多く存在する。今回、特別にそれらの映像をお祓いしてもらい収録許可を得た。だが、安全は保障できない……」と、冒頭のナレーションでいきなりハードルを上げまくる。だが本作は、そのハードルを心霊映像でもって見事に超えてくる。
ナレーション後、本編が始まる前にジャブ替わりとして流れるのは、とある大学サークルが試みた念写映像だ。カメラレンズにキャップを付けているため、真っ暗なはずなのだが、人の顔がはっきりと映り込む。ジャブがすでに右ストレートなみに強烈だ。しかもリプレイは一切なし。「二度は見せない、一度で恐怖を目に焼き付けろ」そんな製作者の声が聞こえてくるようだ。そう、本作には、リプレイがほとんどない。一部、簡素的に繰り返し見せる場合もあるが、基本的には「今映ってたろ?怖いだろ、じゃあ次行くぞ次!」というノリで、一切余計な演出を挟むことなく、ひたすら怖い映像だけを流していく。表に出てくるスタッフもいなければ取材・調査パートも一切ない。そのあまりのストイックさに感動すら覚える。映像の怖さに相当な自信がないと出来ない構成だ。ジャブ映像後にタイトルが出てからは、怒涛の恐怖映像つるべ打ち。その数全部で9本。中には軽めの映像もあるが、普通の心霊ビデオのクライマックス級のやつが半分以上を占めている。以下、その中から印象的な映像をいくつかピックアップして紹介する。
まずは1本目の映像。これは、とある夫婦が自分たちの住む家の様子を撮影したものだ。旦那の両親の持ち家を引き継いだのだが、そこは心霊現象の巣窟だった!というわけ。壁にひびが入るわ、食器が割れまくっていくつあっても足りないわ、夜中に物音はするわ。昼も夜も休む暇なく心霊現象が続く。その過剰労働っぷりに思わず霊が心配になる。特に後半、階段の上に人影が現れてからの畳み掛けるような展開に戦慄必至。ナレーションはほとんどなし。もちろんリプレイも一切なし。そのストイックすぎる演出が余計に恐怖を煽る。
続いては4本目。これは、とある動画投稿サイトで発見された、何かにおびえる男の姿を撮影した映像だ。男は何者かに追われているのか、外を異様に気にし続ける。彼は「霊が自分に取り憑こうとしている」と話す。狂言か、本当に霊が彼を狙っているのか。どちらとも判断がつかない危うさがある。Amazon Primeに突如現れ、その謎っぷりで多くの人を戦慄させたPOVホラー映画「コリアタウン殺人事件」を彷彿とさせる内容である。オチはベタだが中々ゾッとする。
5本目の墓参りの様子を映し出した映像も強烈だ。墓参りが終わり、皆で帰ろうとする途中、ふと撮影者が後ろを向くと、墓の後ろから女が顔を半分のぞかせている。一回視線を話すともういない。だがもう一度カメラを戻すとさっきより近づいている!慌てて逃げる撮影者!墓場で極限猛ダッシュ! だが女の霊はどんどん近づいてくる! 一切容赦なくアグレッシブに襲撃してくる霊が怖すぎる。しかもこれ、真昼間の出来事なんですよ!! 文句なしの傑作だ。
最後に紹介するのは9本目。若者4人が廃墟探索をする映像だ。最初のうちは廃墟を歩き回りながら騒ぎまくって楽しんでいるが、途中から様子が一変。床に倒れたタンス?から女がぬーっと出てくると、一気に地獄に様変わり。若者たちは慌てて逃げるが、女の霊はことごとく先回りをしてくる。やがて一人また一人と、忽然と姿を消していく。段々と追い詰められ、次第に恐怖と不安が募る展開は、まるで一本のホラー映画を観たような充実度。トリを飾るのにふさわしい渾身の一作だ。
上記で紹介した映像以外にも見ごたえのある凶悪映像の目白押し。霊の出方にもかならず一捻りあるのが素晴らしい。もし心霊ビデオファンでまだ観ていない方がいたら、本作は大必見だ。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。