今の30代の人々を見せたかった――監督&主演女優が語る「パリのどこかで、あなたと」
2020年12月11日 16:00

「スパニッシュ・アパートメント」(01)からはじまる“青春三部作”などで知られ、現代フランス映画界を代表するセドリック・クラピッシュ監督の最新作「パリのどこかで、あなたと」が、12月11日から公開された。主演を務めたのは、「おかえり、ブルゴーニュへ」に続きクラピッシュ監督とタッグを組んだアナ・ジラルド。信頼を寄せあう2人に、本作の話を聞いた。

SNSでは埋められない孤独や、仕事に対する不安を抱える男女が、葛藤しながらも過去を受け入れ前進する姿を描く。
ジラルドと再び一緒に仕事をした理由について、クラピッシュ監督は「それはもう、いい女優だからです。『おかえり、ブルゴーニュへ』は約1年間の撮影だったので、アナの仕事ぶりをしっかり見極める時間があったのですが、彼女は演技の引き出しがたくさんあるんです。それでもっとたくさんのこと、もっとドラマチックなことを『パリのどこかで、あなたと』でやってみたいと思ったので、この作品に理想的な人物でした」と語る。
劇中では、ジラルド演じるメラニーが孤独を埋めようと行動する姿や、仕事に悩みやストレスを抱えながらも前向きに生きようともがく男性レミーの生活がリアルに描かれ、日本でも共感できる人々が多いはずだ。クラピッシュ監督は、リサーチ方法を以下のように説明する。

「この映画のポイントの一つは『猫が行方不明』などでやったように、パリの街のポートレートを描くことでした。『猫が行方不明』からは20年以上経ちますし、街も変わったのでそれを見せたかったんです。そして、もう一つのポイントが、アナの世代、今の30代の人々を見せること。彼らは以前とは違う街、以前とは違う孤独に生きている。アプリやネットでの出会いという部分も昔とは違っていて、そういった部分を作品で語りたかったんです。私の世代ではわからないことを理解するために、記者みたいに30代の人々に質問をして回ったり、資料をたくさん集めたりしました」

マッチングアプリで一夜限りの恋を繰り返すも、ありのままの自分をさらけ出すことができずに悩むメラニーを繊細に表現したジラルドは、撮影前にクラピッシュ監督とディスカッションをした経験が役柄への理解につながったという。
「私自身は軽快で明るくて、心配事や悲しみは脇にのけて対峙しないタイプです。でも、私の演じるメラニーはうつ状態で心は重くて、彼女にとって生きていくことは私が考えるよりもっと難しいんだ、とセドリックに言われました。それから、私もメラニーのように精神分析に通い始め、メラニーの人生を深く探りました。実際に私の私生活がメラニーとパラレルになっていって、それらが全部合わさって、私自身の一番暗い部分に直面したんです。撮影の2日前、私は普段見せたことないような状態でセドリックの前に現れて、役に入りきっていました。私自身、メラニーと共にその時期を越えていったので、より豊かな経験となりました。俳優に与えられる役柄は人生の鏡であるというけれど、まさにそのケースで面白い経験でした」

クラピッシュ監督は「実は、(ジラルドは)撮影の2日前に彼と別れたんだよね(笑)」と付け足してから、「あともう一つ、撮影の数週間前にパリ・ファッションウィークがあったんだけど、アナにショーには行っちゃダメだと禁止したんだ。両方同時は無理だよ、と(笑)」と、役柄と私生活の差をつけないためにアドバイスしたことを明かす。
都会に暮らす人々の葛藤、孤独――と書いてしまうと、見る人を選ぶように感じるかもしれないが、鑑賞後には自分の人生に希望を抱かせてくれるような、優しい作品だ。最後に、公開を待つ日本の映画ファンへ向けて、2人がそれぞれメッセージを送った。
「この映画は、パリを旅行するのにちょうどよい方法です。今、なかなか本当の旅行は大変ですからね。よくこれはロマンチックコメディかと聞かれるんですが、普通とは違ったタイプのロマンチックコメディだと思います。ロマンチックコメディというと、最初は仲の悪い2人が最後はくっついたりしますが、この映画ではラブストーリーをいつもとは全く違う方法で描いています。なので、日本の方には、パリが舞台、普通と違うラブストーリー、という点で気に入ってもらえるのではと思います」(クラピッシュ監督)
「パリの物語ですが、東京も大都会なのでこういう関係はありうると思います。近所の人が自分の探している男性じゃないかしらと」(ジラルド)
(C)2019 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA
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