「モンスターハンター」人種差別的表現で中国での上映が中止に 製作会社が謝罪
2020年12月9日 15:00
ミラ・ジョボビッチの主演映画「モンスターハンター」が、劇中に差別表現があるとして中国で公開中断に追い込まれた。
同作は、カプコンの人気ゲームを下敷きに、「バイオハザード」シリーズでも妻ジョボビッチとタッグを組んだポール・W・S・アンダーソン監督が映画化した注目作。12月4日に中国で封切られ、公開初日に興行収入519万ドルと好調な滑り出しを見せたものの、中国人を侮辱する表現があるとの声がソーシャルメディア上で広まった結果、たちまち公開中断に追い込まれている。
問題となっているのは、走行中の車のなかでの会話だ。MCジンとして知られる中国系アメリカ人ラッパーで俳優のJin Au-Yeungが、相棒の白人男性に「俺の膝を見てくれよ」と話しかけ、「いったいどんな膝をしてるんだ?」と聞かれ「チャイ・ニーズ(Chi-nese)」とダジャレを言う。膝(Knees)と中国人を意味するチャイニーズのニーズ(Nese)という音節をかけたジョークだが、中国ではこの表現が人種差別だと炎上。アジア人に対する差別的な意味が込められたアメリカの古い童謡「Chinese, Japanese, Dirty Knees(中国人、日本人、汚い膝)」というものがあり、その歌にかけたジョークと解釈されたからだ。
製作を手がけたドイツのコンスタンティン・フィルムは「中国の人々を差別したり、侮辱したり、傷つけたりする意図はまったくありませんでした」と謝罪。「コンスタンティン・フィルムは中国の観客の懸念に耳を傾け、意図しない誤解を与えた台詞を削除しました」と、問題の場面をカットしたバージョンを用意したと発表している。
現在、中国での配給権を持つテンセントが公開再開をめぐり当局と交渉中とみられている。