水川あさみ、20代前半で臨んだオーディションでの後悔を告白
2020年11月21日 11:30
今作は、第45回報知映画賞の作品賞にノミネートを果たした。水川は、今作と「喜劇 愛妻物語」での熱演が評価されて主演女優賞、「ミッドナイトスワン」「アンダードッグ」で助演女優賞にノミネート。客席から拍手が沸き起こると、「ありがとうございます! 本作で主演女優賞にノミネートされたことはすごく嬉しいですね。今年は深く映画に関われた年でもあったので、まだノミネートではありますが『頑張ったね』と言ってもらえた気分です」と満面の笑みを浮かべた。
32歳で命を絶った夭折の歌人・萩原慎一郎のデビュー作にして遺作となった歌集を原作に、現代をもがき生きる人々の苦悩と希望をオリジナルストーリーで描いた人間ドラマ。大庭監督は「自分の商業映画デビューの公開日はもっと緊張するのかと思っていたけど、そうでもない。今日は俳優3人の付添人として来ました」と挨拶すると、水川が「裏でめっちゃ緊張していたじゃないですか! 緊張でべらべらべらべら、ずっとひとりでしゃべっていましたよ!」と暴露してみせた。これには大庭監督も「いやいや、今日はパブリックイメージ作っていこうと思っているから」とタジタジだった。
水川は30代後半に差し掛かり、子どもを欲しながらも高校の美術教師である夫との関係に違和感を持つ切り絵作家・翠、浅香は非正規雇用問題に取り組みながらも激務に追われ、仕事への理想を失っている厚生労働省の若手官僚・鷹野、寄川はシングルマザーの母に心配をかけまいと、いじめの標的にされてもひとりで問題を抱え込む中学生の学級委員長に扮した。群像劇のため3人が撮影中に顔を合わせる機会はなく、今年の東京国際映画祭で上映された際に初めて対面を果たしたという。
本編で、官僚として働く鷹野が辛い過去と向き合わなくてはならない出来事が起こることに絡め、過去の後悔について聞かれた水川は、20代前半で臨んだオーディション会場での顛末を明かした。
「笑い話になっちゃうんですけど……、その日はタグが外についているおしゃれな洋服を着ていたんですが、後ろにいた女優さんが『タグ出てるよ』と教えてくれたんです。だけど関西から出てきたばかりの私はそれに対して『出してんねん!』と元気よくツッコんじゃって(笑)。それを見ていた他の女優さんが最近教えてくれたんですけど、その時その教えてくれた方がとても傷ついていたようで。未だにその出来事を思い出して、なんでそんなことしちゃったんだろうなあって後悔しています」
意外なトークの展開に、場内は大爆笑。続けてエピソードを求められた浅香は、「僕にはこんな面白い話はないです(笑)」と困惑しきりだった。