クレイジーな状況はすべて実際に起きたこと――「ストックホルム・ケース」監督が語る真実
2020年11月6日 14:30

「スウェーデン史上最も有名な銀行強盗事件として知られる5日間の立てこもり事件(ノルマルム広場強盗事件)を基にした「ストックホルム・ケース」が、11月6日から公開された。メガホンをとったロバート・バドロー監督に、本作の魅力や、「ブルーに生まれついて」に続き2度目のタッグを組んだイーサン・ホークについて話を聞いた。
本作は、誘拐・監禁事件の被害者が犯人と長い時間をともにすることで、犯人に対し連帯感や好意的な感情を抱いてしまう状態を示す心理学用語「ストックホルム症候群」の語源になった事件を題材にしている。自由な国アメリカに憧れる強盗犯のラース(ホーク)が、人質たちと銀行に閉じ込められたことから、彼らの間に不思議な絆が生まれていく。
脚本も手掛けたバドロー監督は、事件の裁判の記録や写真、ドキュメンタリーを見てリサーチをした。「キャラクターのユニークさ、政治面での1970年代の時代背景、その時代ならではの衣装や音楽など、自分にとって魅力的な要素が詰まっていた」と題材にひかれた理由を語り、「またイーサンと仕事がしたい、きっと彼も興味を持ってくれるだろうというのも魅力の一つだったんだ」と明かす。
「イーサンとは『ブルーに生まれついて』のときにすごくウマがあって、信頼関係を築くことができた。2人ともコラボレーションを大切にするという仕事のやり方が同じ。これだけの信頼関係を築けたし、また一緒に仕事ができる企画を探していたんだ。今回、イーサンにとっては今までとは違う新しい役で挑戦することになった。あまりコメディのオファーはされないから、この作品にコメディの要素があるところも魅力に感じてくれたんだと思う」
撮影前には、ホークのある選択に驚いたそう。「衣装のフィッティングのとき、僕のなかのラースのイメージは、実際の犯人が着ていたようなコーデュロイのズボン、ジャケット、シャツだったけれど、イーサンは用意した衣装の奥の方にあった黒いジャケットを『あれがいい』って選んだんだ。それに合わせてキャラクターを作り始めていって、どんどん形としてできていった感じがするよ」。
劇中では、人質が家族に電話する場面のほか、犯人と人質の関係だった彼らに不思議な共感が芽生え始める、さまざまなことが起こる。バドロー監督は「人質のビアンカが家族に電話したのは、本当の事件でもあったことなんだ。彼女だけじゃなく、人質は全員愛する人と何度も連絡をとっていた。描かれているクレイジーな状況はすべて実際に起きたことで、映画のために新しく作らなきゃいけないようなことは一切なかった。例えば、冒頭に銀行に押し入ったラースが、ラジオをかけて警察官に歌を歌わせるシーン。映画の場合はボブ・ディランを歌ってもらっているけれど、実際にはエルビス・プレスリーだった。銀行強盗が警察官に歌えって指示するなんてと驚いたけれど、これは彼のクレイジーさの始まりにしかすぎなかったんだ」。
最後に、「刺激的な瞬間もとにかく楽しんでほしい」と日本の映画ファンへメッセージを送ったバドロー監督。「今は大変な状況にある映画館も多いなか、劇場で公開されることが心から嬉しい」と話していた。
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