中国映画市場、大型連休・国慶節で累計興収624億円! 歴代2位の記録に
2020年10月13日 08:00
中国の大型連休・国慶節(10月1~8日)の興行データが発表され、全体の動員が約9959万人、興行収入の累計は39億5000万元(約624億1000万円)を記録したことがわかった。この数字は、2019年の50億5000万元(約787億7000万円)に次ぐ歴代2位の記録。中国のポータルサイト「新浪(SINA)」などが報じている。
興収ランキング1位に輝いたのは、チャン・イーモウが製作総指揮、「薬の神じゃない!」のニン・ハオが総監督を務めた「愛しの故郷(ふるさと)」。同作は、19年の国慶節に興収31億4000万元(約486億7000万円)を稼いだオムニバス映画「愛しの母国」の姉妹編。中華人民共和国誕生70周年に合わせて製作された“愛国映画”だった「愛しの母国」に対して、老若男女が楽しめるホームコメディだったため、大型連休らしいファミリー映画として好評を博した。10月8日時点では、興収18億7000万元(約295億4600万円)。中国映画市場の“起爆剤”としてメガヒットした「八佰(原題)」(英題:The Eight Hundred)を超える可能性も出てきている。なお、「愛しの母国」は10月30日、「愛しの故郷(ふるさと)」は11月6日からグランドシネマサンシャインで1週間限定上映され、その後全国順次公開される。
アニメーション映画「姜子牙(原題)」(英題:Legend of Deification)の動きにも注目が集まっている。本作は、19年度の中国年間興収ランキング1位に輝いた「ナタ 魔童降臨」(50億4000万元:約796億3000万円)に続く「Coloroom Pictures(彩条屋影業)」の中国神話シリーズの第2弾。公開初日の10月1日には3億6200万元(約57億2000万円)をマーク。「ナタ 魔童降臨」が持ってたアニメ映画の単日興収記録3億4200万元(約54億360万円)を更新している。しかし、姜子牙(=太公望)を中心に描いているため、内容がやや“大人向け”。「ナタ 魔童降臨」とは異なり、子どもからの反響が芳しくなく、国慶節の後半は客足が遠のいてしまった。10月8日時点の興収は、13億8000万元(約218億400万円)となっている。
ピーター・チャン監督作「奪冠(原題)」(英題:Leap)は、中国女子バレーボールチームの実話を基にした作品。伝説的バレーボール選手・指導者である郎平を中心に、80年代の中国女子バレーボールの黄金時代から現代までを描いている。「郎平役を演じるのは、国民的女優コン・リー」「現役の中国バレーボール選手が多数出演」「“優勝”というキーワードが国慶節の雰囲気にぴったり」という理由から、多くのメディアがメガヒットを予想。もともとは10月1日公開だったが、着席率の制限緩和に合わせて、9月25日に前倒しで封切られた。ところが、口コミは賛否両論。多くの中国人にとって“現実の中国女子バレーボールチーム”の印象が強く、劇映画への違和感を感じ取ってしまったようだ。10月8日時点では、興収6億4000万元(約101億1200万円)。国慶節の興収ランキングでは3位に位置付けた。
年内に世界公開を予定していた大作映画が相次いで公開延期となり、苦戦を強いられている北米市場。一方、中国市場は「八佰(原題)」の大ヒット、国慶節における好調な売り上げが後押しとなり、現時点での北米年間興収との差はわずか1億ドル。コロナ禍という異例の事態ではあるが、中国が北米を抜いて“世界最大の映画市場”の座につくことは、ほぼ確実と言えるだろう。
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