少年への残虐行為にベネチアで退場者続出 発禁書を映画化「異端の鳥」本編映像
2020年10月6日 18:00

ホロコーストから生還した、ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表し、同国で発禁書となった小説を原作に映画化、第76回ベネチア国際映画祭でユニセフ賞を受賞した「異端の鳥」の本編映像の一部が公開された。
ナチスのホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が差別に抗いながら強く生き抜く姿と、ごく普通の人々が異物である少年を徹底的に攻撃する姿を、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督が映像化。ベネチア映画祭のコンペティション部門で上映されると、少年の置かれた過酷な状況が賛否を呼び、途中退場者が続出。しかし、同時に10分間のスタンディングオベーションを受け、ユニセフ賞を受賞し、同映画祭屈指の話題作となった。
疎開先の叔母が急死して以降、村から村へと地獄の旅路を続けていた少年は、町で心優しい司祭(ハーベイ・カイテル)に助けられるが、彼は病に侵され余命がいくばくもないことは明らかだった。そこで司祭は、教会の敬虔な信者である農夫ガルボス(ジュリアン・サンズ)に少年を託すことにする。しかし、ガルボスには弱き者に手をかける異常者という裏の顔があり、少年は次第に追い詰められていく。少年は司祭に助けを求めようとするが、彼は真実から目を背けるばかりで少年の悲痛の心の叫びに耳を傾けようとはしなかった。
このほど公開された映像は、“懺悔”を終えたガルボスが、少年を縛り付けて罰を加えようとし、窮地に追いつめられた少年は護身用として隠し持っていたサバイバルナイフを床に落としてしまう。そして、その後の恐ろしい展開が切り取られている。
このシーンをはじめ、数々のシーンで幼い子供が過酷な状況に置かれることについて、マルホウル監督は「大人には過去があり、それを認識していると同時に、未来を想像することができます。しかし、それは子供にはそれが当てはまりません。過去は信じられないほど浅い水域で、泳ぐことはできない。そして、未来はまったく想像がつかない。子供達には、1カ月後に何が起こるか分からならないのです。複数の臨床心理学者は、逆説的に、子供たちは大人よりもはるかに簡単に困難な現実を受け入れると結論付けています。彼らはそのままを受け取るからです。そしてもちろんこれは、子供たちが周囲のひどいものが正常であると信じることにより、彼らが生き残るのを助ける性質なのです。このようなことが、主人公の“少年”にも起ります。恐ろしいことに耐える、まさにその弾力性によって取り返しのつかないほどのダメージを彼は受けてしまう。しかし、私はいつでも彼らが元に戻る方法があると確信しているのです」と語っている。
「異端の鳥」は、10月9日から東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
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