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「これは全部真実だ!」ピエール・カルダン本人が絶賛 天才デザイナーの半生を映したドキュメンタリー監督に聞く

2020年10月1日 17:00

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カルダンのコレクターでもあるP・デビッド・エバーソール、トッド・ヒューズ両監督
カルダンのコレクターでもあるP・デビッド・エバーソール、トッド・ヒューズ両監督

世界的デザイナー、ピエール・カルダンの波乱万丈な人生に迫ったドキュメンタリー「ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン」が10月2日公開される。今年98歳を迎えたカルダン氏と、天才デザイナーが残した歴史ともに、本作を撮り上げたP・デビッド・エバーソールトッド・ヒューズ両監督に話を聞いた。

――ファッションの流行や価値観は時代によって移り変わりますが、このタイミングでカルダン氏のドキュメンタリーを世に出すことについての意義。我々が学ぶべきことは?

ファッションというものは自己表現だと思っています。軽いものではないと思っていて、他人に自分が誰であるかを伝えるコミュニケーション手段です。カルダン氏とこの作品を作る道のりの中で、そのことを度々学び、実感しました。この作品から、ファッションが自己表現だということを学ぶことができると思います。

――カルダン氏は、先鋭的なデザイナーであり、アーティストとも呼べる才人です。様々な角度から見た、カルダン氏の魅力や特異点を教えてください。

やはり未来に対するビジョン、楽観主義的な未来への視線、それが特別です。彼がデザインするすべてのものから感じ取れるのです。僕たちは彼のデザインのコレクターでもあるので、家にいてもそれを実感しています。彼のデザインを経験することによって気持ちがとても上がるのです。ジャン=ポール・ゴルチエも言っていましたが、すべてのものが可能であると言えるところ。そこが彼の特別なところであり、1番の魅力だと思うのです。

画像2(C)House of Cardin - The Ebersole Hughes Company
――同業者のサンローラン氏との不仲や、恋愛や性的志向などプライベートな情報も赤裸々に盛り込まれています。ドキュメンタリー制作にあたり、取り上げることがNG、タブーととされたエピソードはなかったのでしょうか?

特にカルダン氏からNGというものは出されませんでした。彼の方からアーカイブ(記録)のすべてのアクセス権を許可するし、誰に話を聞いてもいいからと言われました。2年前にカルダン氏と、カルダン氏の別荘で30分だけのフッテージの試写会をしました。そこには映画の出演者もおり、自分のアングルを気にしたカルダン氏以外の人からのリクエストがありましたが。

また、カルダン氏の甥からは、最後に、パレ・ド・ルミエール(光の宮殿)という建物を造る計画を映像の中に取り入れて欲しいとのリクエストがありました。それは、ピエール・カルダンという存在がこれからも続いていき、決してこれが弔文のようになってはいけない、これからのカルダンというラストシーンで終わらせて欲しいという提案です。それは僕らとしても問題ないと思い、受け入れました。

――カルダン氏は先見の明があり、常に進化を続けている方です。ご高齢ですが、現在はどのような仕事をされているのでしょうか。

新しい服のラインをデザインしたのは知っています。パレ・ビュルと呼ばれるカンヌの泡の宮殿(カルダン氏の別荘)でフッテージを見せた時に、僕らは知らなかったのですが、ファッションショーも行ったそうです。あと、本編に出てきた家を改修しているそう。

また、実験的な演劇を公演するスペース、エスパス・ド・カルダンというプロジェクトも動いていて、デザインを見せてもらいました。あの年齢で、そういった場所を新たに立ち上げようとしていることが凄いです。あとはピエール・コルトン(デザイナー)とスタジオ・ピエール・カルダンを新しく立ち上げて、ピエール・カルダンのデザインに新しいアイディアを若いデザイナーから盛り込もうとしている。パレ・ド・ルミエール(光の宮殿)を作るプロジェクトも完成させてほしいです。

――本作を鑑賞した、カルダン氏の感想は?

「I love it! とても気に入った。好きだ! これは全部真実だ!」と喜んでくれましたよ。

 「ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン」は、10月2日から東京のBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開。

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