Netflixが同性愛者キャラクター登場作品を制作中止 トルコ当局の検閲で
2020年8月15日 15:00

[映画.com ニュース]米ストリーミング大手のNetflixが、トルコのオリジナルシリーズ「If Only(原題)」の制作を、政府当局からの圧力を受けて断念したことがわかった。米バラエティが報じている。
トルコ随一の映像製作会社アイ・ヤピムが制作を手がける予定だった「If Only(原題)」は、不幸な結婚生活を送るヒロインが、理想と現実の狭間で苦悩するさまを描く恋愛ドラマ。同国内での撮影開始に向けて準備を進めるなか、政府検閲当局から撮影許可を得るために脚本を提出したところ、5人の主要キャラクターのうちひとりが同性愛者であることを問題視した当局により却下されてしまった。
バラエティが関係者から入手した話によれば、当局はNetflixに対し、同性愛者というキャラクター設定の変更を含めた脚本のリライトを要求したが、Netflix側はこれを拒否。制作準備にかかった費用を全額負担のうえ、制作自体を中止する決断を下したとのことだ。
同じくアイ・ヤピム制作によるトルコが舞台のNetflixオリジナルシリーズ「恋の入門編」も、4月に配信がスタートするや「登場人物のひとりが同性愛者なのではないか」という噂がSNS上で広がり、検閲当局が目を光らせていたが、同作に関しては、Netflixが広報担当を通じてきっぱり噂を否定している。
「If Only(原題)」が制作中止となったことを受け、同国内メディアでは、Netflixがこれを機にトルコから完全撤退するとの憶測が流れている。しかし、バラエティの取材に応じたNetflixの広報担当は、「我が社は、トルコのクリエイティブコミュニティと、同国が誇る超一流の人材に深い敬意を抱いています。現在制作中、または準備中のトルコが舞台のオリジナルシリーズに加えて、今後も多数のプロジェクトを企画していますし、これらの素晴らしいストーリーを、世界中の視聴者と分かち合うのを心待ちにしています」と明言している。
制作形態とストーリーラインの両面において、トルコのテレビ界に革新をもたらすと同時に、世界的大ヒットとなった第1弾の「ラスト・プロテクター」をはじめ、Netflixは現在、5本のトルコ産オリジナルシリーズをラインナップに掲げている。
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