斎藤工、“コロナに負けない速度”でリモート製作された岩井俊二監督作に最敬礼 のんは“映画の生命力”を実感
2020年7月29日 12:00

[映画.com ニュース] 岩井俊二監督によるリモート製作ドラマをもとにした映画「8日で死んだ怪獣の12日の物語」の公開直前イベントが7月28日、東京・スペースFS汐留で開催された。出演した斎藤工、のん、武井壮、穂志もえか、樋口真嗣監督、メガホンをとった岩井監督が登壇した。
本企画の始まりは、樋口監督ら5人の監督が「怪獣の人形に願いを込めてコロナウイルスを倒そう」という趣旨のもと、自宅で撮影した見えない大怪獣コロナと自分の怪獣との戦いをSNSのリレー形式でパスしていく「カプセル怪獣計画」。岩井監督は番外編として創出した全12話のオリジナルストーリーを、YouTubeで配信。コロナと戦ってくれるというカプセル怪獣を通販サイトで購入した男を軸に、フィクションだがドキュメンタリーのような、不思議な世界観が展開する。
コンテンポラリーダンサーによるパフォーマンスにより、イベントはファンタジックな幕開けに。4月28日に樋口監督から連絡を受け、約3カ月で映画を作り上げた岩井監督は「自分自身、まだ夢を見ているような不思議な心地です。辛いコロナのステイホームの日々の中で、僕自身が目標を見出せて、救われたような気持ちでいます」と胸中を吐露。のんは「脚本を読ませて頂いた時に、『この状況下でもアイデアとパワーがあれば、映画を作ることができる』と感動しました。岩井組に初めて参加させて頂いたのですが、映画の生命力をすごく感じられて。遊び心があるから楽しんで見られる中に、心に響くメッセージもこめられています。この状況でしっかり生きていかなくてはいけないんだな、と改めて実感しました」と思いを馳せた。

ほぼ全編リモートで製作されたため、この日が初対面だというキャスト陣。斎藤は唯一、岩井監督とは直接会う機会があったそうで、「岩井さんが、(劇中で僕が)育てる怪獣の宅配をして下さって。とてもデリケートなものなので」と裏話を明かす。演技や撮影方法など、初めて尽くしの環境。のんは「斎藤さん演じるサトウさんとリモートで会話しているという設定なんです。でも実際にはカメラに向かっていて、斎藤さんの表情を見ずに声を頼りに会話していたので、スリルのある撮影でした。声だけなので、耳が研ぎ澄まされました」と、苦労もあったようだ。対する斎藤は「僕は性格がねじ曲がっているんで、変なボールをのんさんに投げるんですが、ものの見事に打ち返して下さいました。『もっと変なボールを投げよう』という気持ちになりました(笑)」と、半分以上がアドリブだったことも明らかになった。
売り上げの一部が、ミニシアター支援に充てられる本作。斎藤は「映画館、劇場、ライブハウスなど、かつては当たり前にあった発表する場所、ある種ゴール地点のような場所が、進化を求められているのかなと感じます。ミニシアターに育てて頂いた人間として、何かできないかと思いました」と言葉に熱をこめる。「コロナ禍以前の作品と以降の作品というように、エンタテインメントも大きく分けられると思うんです。そういう意味ではコロナ禍の直後、コロナに負けない速度で岩井俊二さんがフィルムメイキングして、『ウェブから劇場に』という新しい形を数カ月の間に打ち出したというのは、大いなる意味があると思います。恐らく、ミニシアターの新しい支援のモデルケースになるんじゃないかな」と言葉に熱を込めた。
岩井監督は「劇場に行きづらいお客さんにも見てもらうことで、劇場に還元されていくモデルしか、今のところはやりようがないのかなと。これは皆で知恵をしぼって、その中で思いついたやり方でしたね。学生時代にたくさんの映画を見て、僕の作品の大半を上映してくれたのはミニシアターだったので、コロナ禍のスケールからすると微力ですが、こういう形をとらせて頂きました」と語った。
劇場版「8日で死んだ怪獣の12日の物語」は、7月31日から全国のミニシアターで順次公開。8月7日よりオンライン上映も実施される。
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