水川あさみ主演「滑走路」主題歌はSano ibuki! 新曲「紙飛行機」を書き下ろし
2020年7月16日 17:00

[映画.com ニュース] 32歳で命を絶った“非正規歌人”萩原慎一郎氏による歌集を、水川あさみ主演で映画化する「滑走路」の主題歌を、シンガーソングライター・Sano ibukiが担当することが決定。本作のために書き下ろした新曲「紙飛行機」を提供している。
いじめや非正規雇用など、自らの経験をもとに短歌を発表し続けた歌人・萩原氏。「歌集 滑走路」のあとがきを入稿した翌月、32歳の若さで亡くなった。デビュー作にして遺作となった歌集は、困難の中にあっても生きる希望を歌い、苦悩を抱える人へのエールとして多くの共感を呼んだ。本作では、原作をモチーフにしたオリジナルストーリーが紡がれ、それぞれ悩みを抱えて生きる3人の人生が交錯。大庭功睦監督がメガホンをとり、水川のほか、、浅香航大、寄川歌太、坂井真紀、水橋研二、吉村界人、染谷将太、木下渓、池田優斗が出演している。
Sanoは、空想の物語の主題歌を収録したアルバム「STORY TELLER」が話題となり、物語を音楽として紡ぎだす才能が高い評価を得ている気鋭のアーティスト。北村匠海、芳根京子らが声優を務めたアニメーション映画「ぼくらの7日間戦争」、今泉力哉監督作「his」の主題歌も担当している。オファー以前より、原作歌集を愛読していたというSano。映画の製作途中から映像を何度も見返し、大庭監督ともディスカッションを重ねながら楽曲を構想。映画のラストシーンに寄り添い、観客の心にその余韻を深く残す主題歌を完成させた。
主題歌「紙飛行機」について「監督から『最後にSanoさんの曲で映画を空へ飛ばしてほしい』という言葉を頂き、この作品の叫びを遠くへ飛ばす風となれるような楽曲を作りたいと模索した末、完成しました」と明かしたSano。「表面的な希望ではなくその奥にある絶望や妬み、悲しみを包み込む優しさのようなものを感じるこの作品に出会えたことで、僕自身救われたような気持ちになりました。劇場で鑑賞できることを楽しみにしています」と思いの丈を述べている。
大庭監督が、Sanoへのオファーを決意したのは、「his」の主題歌となった「マリアロード」を聴いた時のこと。「『この人なら映画を観た後にそれぞれの感情を抱えた観客の思いを、その深く柔らかい声でまとめ上げてくれるような、スケール感のある音楽を作ってくれるのではないか』と感じました。また叙情的で物語性のある歌詞も、原作者である萩原さんの歌と親和するように感じています」と説明した。
大庭監督「初めてSanoさんにお会いした時、僕の目を真っ直ぐに見て、『映像を5、6回は観ました!』と言ってくれたのをよく覚えています。なんとなく、傑出した才気で孤独に音楽を作られている方なのかな、と勝手に思っていたので、そこまで映画と熱心に向き合ってくれる事が嬉しくもあり、また意外でもありました。Sanoさんは、原作、映画と対峙しながら、“自分は音楽としてどう答えを出すべきか”をとても真摯に誠実に考えてくれていて、その姿勢をとても頼もしく、また嬉しく感じました。最初のデモが上がった時にラストシーンの映像にあてながら聴いたのですが、思わず感動して泣いてしまいました。僕の理想を遥かに凌駕し、原作も映画も力強く前へと運んでくれる楽曲がそこにあったのです」
「滑走路」は、今秋に全国公開。
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