大手映画会社の副総裁の自殺、北京での集団感染――中国映画界の暗雲はいまだに晴れず
2020年6月19日 13:00

[映画.com ニュース] 世界中で“映画館再開”の動きが広がっているが、中国映画業界には、いまだに暗雲が立ち込めている。5月8日、中国国内では条件付きでの“映画館再開”が通達されたが、現在も再開に踏み切った劇場は存在しない。そんな苦境の最中、衝撃的な出来事が立て続けに起きてしまった。
5月末頃から「6月10日は、映画館再開の日」という噂が中国国内を駆け巡っていた。ついに迎えた同日、人々にもたらされたのは“映画館再開”という吉報ではなく、映画業界全体にショックを与える訃報だった。亡くなったのは、中国の大手映画会社「博納影業」の副総裁・黄巍(ホアン・ウェイ)氏。飛び降り自殺だった。
「博納影業」は、自殺の理由について「長期的な不眠と心理的抑圧」と発表し、ネット上では同社への反発の声が上がっている。中国では、1月23日から4カ月以上もの間、劇場が停止し続けており、既に多くの映画館や関連企業が倒産。大手映画会社「万達電影」も、全社員の20~30%を対象とした大規模なリストラ実行の可能性を発表している。黄巍氏の自殺も、業績の悪化と深く結びついているのではないかという意見が多数を占めているようだ。

「博納影業」は、日本に置き換えれば、東宝や松竹に匹敵するほどの知名度を誇っているため、黄巍氏の死は大きな反響を呼んだ。中国最大のSNS「微博(WEIBO:ウェイボー)」ではトレンド入り。名匠ジャ・ジャンクーも追悼のコメントとともに「もう限界かもしれない。映画館を再開しないといけない」と悲嘆にくれた。
6月11日、北京市内で、新型コロナウイルスの感染者(1名)が57日ぶりに確認された。この事態を受け、北京政府は「映画館、カラオケなどは、当面の間、営業再開を認めない」と方針を打ち出した。同日の湖北省の政府記者会見では、条件付きでの“映画館再開”を発表している。今回の発覚は“集団感染”だったようで、感染者の数は5日間で100人超。映画業界は、再び窮地に陥ってしまった。業界関係者の話によれば、夏季開催を予定していた北京国際映画祭の実施が困難に。さらに、北京から1000キロ以上も離れている上海での国際映画祭などのイベントにも影響が及ぶとされている。
6月16日、中国のポータルサイト「新浪(SINA)」は、「100名の映画館関係者が“涙のお願い”:映画館の再開を待つことは、まるで凌遅刑のようで、我々は6月末に失血死するに違いない」と題したコラムを掲載(凌遅刑=生きている人間の肉体を少しずつ切り落とし、長時間にわたって苦痛を与え、死に至らす処刑方法)。映画ジャーナリスト・何小沁氏が、映画館の出資者や支配人、スタッフなどを取材し、現在の中国映画業界の惨状を紐解く内容となっている。記事のPV数は、わずか1日で200万に達し、多くの人々が映画業界に声援を送っている。
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