カンヌ国際映画祭、マーケット部門はオンライン開催 監督週間、批評家週間、ACIDは中止
2020年4月18日 20:00
[映画.com ニュース] 新型コロナウイルス対策のため、フランスではマクロン大統領により、7月半ばまで大きなイベントやフェスティバルが禁止となった。これにより、当初6月末から7月頭の時期に開催の延期を予定していたカンヌ国際映画祭は、再び暗礁に乗り上げた。この時期を逃すと夏のバカンスで南仏は混雑をきたし、9月以降はヴェネチアを皮切りにトロント、サン・セバスチャン、シッチェスなど12月まで映画祭シーズンが続くため、バッティングを避けるのは至難の技となるからだ。
マクロン大統領の決定を受けて、カンヌ側はとり急ぎマーケット部門のみ、オンラインで6月22日から26日の5日間、開催することを発表した。一方、併設部門の監督週間、批評家週間、ACID(インディペンデント映画協会)は、正式に2020年度の中止を決めた。
残るはコンペティション、ある視点、招待作部門などのオフィシャルセクションである。映画祭ディレクター、ティエリー・フレモーは4月15日にバラエティの取材に応じ、まだ諦めるつもりはなく「他の形で開催する」ことを模索していると語った。とはいえ彼によれば、カンヌの性質上、バーチャルでやることは意味をなさないという。映画館閉鎖ですでに苦境を強いられている業界人をサポートするためにも、本来の形でやることにこだわっているとか。ただし、他の映画祭と提携してやる可能性があることも明かした。
「(ベネチア映画祭ディレクターの)アルベルト・バルベラとは例年よく話をしているが、彼ももちろん不安を抱いている。コロナ危機が訪れて以来、もしカンヌがキャンセルになった場合一緒に何かをやる可能性を考えてきたし、いまも話し合っているところだ。ロカルノ、サン・セバスチャン、ドービル(アメリカ映画祭)などからも声をかけてもらい、彼らの姿勢に感動した。(フレモーが主催する)リヨンのリュミエール映画祭でも、何本かの作品のワールド・プレミアを考えている」
さらに現状の延期を受けて、応募作の締め切りを伸ばし、6月頭まで選考を続けることも付け加えた。「カンヌのための映画祭ではなく、すべては業界を支えるため」とフレモーは強調しているが、しかし、選考締め切りを延ばすということは必然的に他の映画祭への応募と重なるということでもある。カンヌに選ばれたという、プレステージな「カンヌ・レーベル」のお墨付きが欲しい作品にとっては、開催形態も決まらない一方で可能性だけは残されている、というなんとも中途半端な状態になってしまった。いっそのこと、ラインナップだけでも予定通りに発表してくれた方が、他の映画祭にとっても助かったのではないだろうか。
いずれにしろ、誰も予想できなかったコロナ危機の影響は、今後も当分尾を引くことになるだろう。(佐藤久理子)
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