【パリ発コラム】仏版アカデミー賞のセザール賞 ポランスキーの最多ノミネートにフェニミスト団体が反発
2020年2月29日 11:00

毎年2月末は、フランスのアカデミー賞に匹敵するセザール賞の授賞式が開催される。だが、第45回目を迎える今年は大揉めに揉めている。1月のノミネーション発表の段階で、ロマン・ポランスキーの「J’accuse」が最多12部門のノミネートを受けたことに、フェニミスト団体が反発。作品そのものに罪はないものの、ポランスキーの身辺が過去の#MeToo問題に揺れているためで、団体は彼に投票しないよう会員に訴えるとともに、2月28日の授賞式当日も、抗議運動を繰り広げた。
それだけではない。本授賞式のプレ・セレモニーとも言える、若手有望俳優たちを集めたパーティで、クレール・ドゥニ監督や作家兼監督のビルジニ・デパントの招待があらかじめ排除されていたことがわかり、問題になった。
セザール賞のノミネートに対しては以前から、大衆的なヒット作への偏りが指摘されていたが、今回の件で、委員会メンバーの個人的な好みが反映されているのではないかとの指摘があがった。とくに、セザール賞を運営するアカデミー・デザール・エ・テクニック・ドゥ・シネマで、史上もっとも長い17年間プレジデントを務めてきたアラン・テルジアへの風当たりは強く、2月10日のル・モンド紙には、ミシェル・アザナビシウス、セリーヌ・シアマ、ジル・ルルーシュ、セドリック・クラピッシュといった映画人たちが連名で、抗議のレターを掲載。運営管理の曖昧さや、公平さを欠いた態度を糾弾した。
この抗議文の反響により、授賞式を前にした2月13日、テルジア率いる委員会のメンバーが辞任を表明。とりあえず授賞式は予定通り行われ、その後組織の立て直しが図られる模様だ。
今年のアカデミー賞では、「パラサイト 半地下の家族」が4冠を制覇したことは記憶に新しいが、映画業界における男女平等が叫ばれるとともに、まだまだ「白い業界」ということも揶揄されていた。フランスも残念ながら状況はあまり変わらない。
ただしそのなかで今年健闘しているのが、11部門にノミネートされた「レ・ミゼラブル」のラジ・リ監督(フランス生まれのアフリカ系)と、10部門ノミネートの「Portrait de la jeune fille en feu」の女性監督、セリーヌ・シアマだ。ともにこれからのフランス映画を負って立つ才能。彼らの活躍は、「フランス映画のいま」を反映した、多様性を象徴するものと言えるだろう。(佐藤久理子)
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