ホロコーストから逃れた少年が直面する過激な差別と迫害……「異端の鳥」特報入手
2020年2月27日 13:00
[映画.com ニュース]第76回ベネチア国際映画祭で注目を集め、第92回アカデミー賞国際長編映画賞のチェコ代表にも選出された「異端の鳥」の公開日が6月12日に決定し、特報映像とティザービジュアルを、映画.comが先行入手した。
本作は、第2次大戦中、ナチスのホロコーストから逃れるために、たった一人で田舎に疎開した少年が差別と迫害に抗いながら強く生き抜く姿と、異物である少年を徹底的に攻撃する“普通の人々”を赤裸々に描いた作品。原作は自身もホロコーストから生還した、ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した「ペインテッド・バード(初版邦題:異端の鳥)」。ポーランドでは発禁書となり、作家自身も後に謎の自殺を遂げた“いわくつきの傑作”だ。
チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督は3年をかけて17のバージョンのシナリオを用意。資金調達に4年をかけ、さらに主演のペトル・コラールが成長していく様を描く為、撮影に2年を費やし、実に11年もの歳月をかけて映像化した。ベネチア映画祭のコンペティション部門で上映されると、少年の置かれた過酷な状況が賛否を呼び、途中退場者が続出。しかし、同時に10分間のスタンディングオベーションを受け、ユニセフ賞を受賞し、同映画祭屈指の話題作となった。
特報は、主人公の少年がか弱い小動物を抱え、息を切らしながら懸命に何者かから逃げようとするオープニングシーンがスタート。次の瞬間、彼と背丈の変わらない幼い少年が体当たりをしてくる瞬間をとらえている。家族とはぐれ、たったひとりで戦争の魔の手から逃げる少年は、行く先々で人々から“よそ者”“異端”扱いされ、数々のむごい仕打ちや試練に直面していく。
撮影監督を務めたのは、「コーリャ 愛のプラハ」にも参加したチェコ映画界の巨匠ウラジミール・スムットニー。全編モノクロームの映像は、1コマ1コマがまるで名画のように美しく、非常に強い余韻を残している。また、少年の行く末のカギを握ることになるドイツ兵役のステラン・スカルスガルドのほか、ハーベイ・カイテル、ウド・キアといった豪華出演者たちの登場シーンも収められている。
「異端の鳥」は、6月12日から東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
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