美しく輝く女性たち! 眩しいパーティーシーンに期待が膨らむ 蜷川実花「FOLLOWERS」撮影現場に潜入
2020年2月5日 12:00

昨年「Diner ダイナー」「人間失格 太宰治と3人の女たち」と2本の映画を発表し、話題を集めた蜷川実花監督のNetflixオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」。中谷美紀、池田エライザをはじめとした豪華キャストが競演し、仕事も私生活も貪欲に人生を楽しむ女性たち、世界から熱い視線を集める“TOKYOカルチャー”、そしてSNSで変化する人間関係をリアルに描く新作ドラマだ。昨年行われた、東宝スタジオでの撮影に映画.comが潜入した。

第一線の写真家として順調なキャリアを築くが、子供を持つ夢をあきらめきれないリミ。女優志望で地方から上京してきたものの、なかなか芽の出ないなつめ。リミが偶然仕事現場で出会ったなつめの写真をインスタに投稿し、ふたりの運命が交錯していく様を軸に、彼女たちを取り巻く人々それぞれの“幸せの選び方”の悲喜こもごもが、極彩色の万華鏡のように展開する。夏木マリ、板谷由夏、コムアイ、中島美嘉、浅野忠信ら個性溢れる実力派が脇を固める。

蜷川監督は「割と今の日本のドラマに出てくるのって、同じようなタイプの女性が多いような気がするんです。みんな悩んでいて、結婚したくて、明日に不安がある…みたいな。もちろんそういった側面は私にもあるし、誰にでもあると思うのですが、あまりにもそこにフォーカスされすぎていて、大人って楽しいよね。女性って面白いよね。私たち幸せじゃない? っていうことをきちんと真ん中で伝えているドラマがないなと思っていて。そこがかえって不自然だなと感じていました」「今まで映画を4作撮ってきて、重ためのテーマやストーリー展開が多かったので、もう少し軽やかで女性たちが観たあとで元気になるようなものを作ってみたいなという気持ちがありました。自分のなかにも軽やかで面白い日常があるので、そういうものを伝えられる作品を作りたかった」と今作のテーマを語る。

この日報道陣に公開されたのは、第1話の「ウーマン・オブ・フューチャー・アワーズ」授賞式のシーン。特筆すべきは長年蜷川監督とタッグを組んできた美術監督ENZO氏による、パーティー会場の世界観だ。赤色を基調に、三角や台形など幾何学的なモチーフと、桜やバラや森林といった自然界の有機的な美しさを組み合わせた独創的で華やかな空間が、数々の名作を生み出してきた老舗スタジオに出現した。カメオ出演のゲストやエキストラも続々と集い、次第に会場のボルテージが高まっていく。

この賞の受賞者である中谷扮するリミは、数多のカメラのフラッシュに包まれ登場する。目を輝かせ自信たっぷりに「仕事も女性としての幸せも諦めない」「行動を起こしてきた結果が今につながっている」と、このドラマの根幹といえる自身の人生哲学をスピーチ。そして、対極的にアルバイトのウェイトレスとして会場にいるなつめ。物語の導入部であるこのパーティーシーンでは、ふたりはまだすれ違わないが、リミの一番の理解者であるマネージャーのゆる子(金子ノブアキ)、実業家のエリコ(夏木マリ)、カリスマ的人気歌手の敏腕マネージャー・あかね(板谷由夏)といったリミの“女子会”仲間の面々が、レッドカーペットでお披露目される。歌姫sayoを演じる中島美嘉によるステージも繰り広げられ、キラキラと輝く女性たちの物語の幕開けにふさわしいゴージャスな場面だ。

今作は、場面や登場人物によって変化するファッションやヘアメイク、インテリア、小物使いも見どころのひとつ。憧れのハイブランドや個性的なビンテージ、ラフな着こなしに一ひねり加えた、初心者もすぐに取り入れられそうなコーディネートまで、おしゃれ心をくすぐるさまざまなアイテムが映し出される。

「キャラクターを作っていくうえで本当に何回も何回も打ち合わせをしましたし、なかなか通常では借りれないブランドのお洋服をたくさん貸していただきました。あとはスタッフの私服を投入して、3分の1くらいは私の服なんじゃないかっていう噂があるくらい、だいぶ使っていただいたりもしています。例えば携帯ケースひとつとっても、この時期のなつめだったらきっとこれを選ぶはずだとか、携帯の画面が割れていても直せないね、とか。売れてくるとマーク・ジェイコブスのちょっといい携帯ケースに変わっていたりするんです。リミはきっとディオールだね、エリコはグッチなんじゃない? って話しながら、ブランドはもちろんノンブランドだったらどういうものかも含めて、携帯ひとつとってもみんなでディスカッションしました。髪型もそうですけど、ファッションは表現のひとつですよね」と蜷川監督はそのこだわりを明かす。

自分らしく生きる女性たちを讃える今作、キャストのみならず、現場も多くの女性スタッフが揃ったそう。「今回は女性のほうが多かったんです。すごくめずらしいことみたいで、Netflixの方もびっくりしていたと聞きました。もちろん男性でも女性でもいいんですけど、私の現場くらいは女性が多くてもいいのかなと思っています。女性男性に関わらず、私の現場の特徴はみんなが仕事をやらされていないこと。いろんな方が見学に来る度に、それぞれのスタッフがやりたいと思って能動的にやっているように見える、みんなが楽しそうでいいねって必ず言って帰ってくれるので、それはすごく自慢です」と作り手の楽しさも伝わる仕上がりだ。

写真家として海外での展覧会も経験し、既に世界的な人気を誇る蜷川監督だが、満を持して、蜷川流“リアルTOKYO”を描いた映像作品が190カ国で配信される。「東京生まれの東京育ちで東京にしか住んだことがないですし、今まで作ってきた映画もずっと東京の話なんです。東京と自分のクリエイションは親和性が高いので、いつかちゃんと向き合って東京を描くってことをしなくちゃいけないな、と思っていました。女性たちの今の気分をきちんと描くのと同時に、ちゃんと東京の面白いところやきらびやかなところ、かっこいいところを世界中の人に見てもらえるものを作りたいと思っていたので、観光地的なところも入っています。海外の方が好きそうなところでもロケしています」と説明する。そして、「口当たりがいいドラマではないかもしれないですが、今までにない新しい女性像が描かれていて、あるエリアの方たちにとってはリアリティのあるドラマになっているんじゃないかなと思います。まずは試しに見ていただいて、そしてできれば3話、4話くらいまで見てから、その先に進むか進まないかを決めてもらえたら嬉しいです(笑)。よろしくお願いします」と配信を待ち望む視聴者に向け、メッセージを寄せた。

蜷川監督が生み出す映像のごとく、彩度&感度の高い女性たちの前向きな幸せ探しは、ニューヨークで働く独身女性の恋愛模様を描き、世界的にヒットしたドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の21世紀東京版のよう。20代からシニアまで、幅広い世代の登場人物が登場し、年齢やジェンダーを超えて視聴者が誰かしらのエピソードに共感しやすいこともポイントだ。他者に依存せず、己の信じた道を進む女性たちの生き生きとした姿、そのそれぞれの美しさを捉える蜷川監督の真骨頂とも言える本シリーズ、日本のみならず、海外からの評価にも期待が高まる。
2月27日、Netflixにて全9話世界190カ国へ独占配信。
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