実在の殺人鬼を描いたファティ・アキン監督、意外な決断理由を明かす
2020年1月24日 19:00

[映画.com ニュース]ドイツの名匠ファティ・アキン監督が来日し、東京都内で1月23日に実施された最新作「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」の試写会で、ティーチインを行った。
映画は、1970年代にドイツ・ハンブルクで4人の娼婦を殺害し、遺体を隠した部屋に住み続けていた男の日常を容赦なく描写したサスペンスホラー。第69回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で、その衝撃的な内容から賛否両論を巻き起こした。
「原作小説を発売日当日に入手し、その日のうちに映画化権を手に入れた」というアキン監督は、本作(英題:The Golden Glove)を実際に製作する決め手になったのは、「女は二度決断する」で“ゴールデングローブ賞”を受賞したことだったと告白した。
交通事故で外見が醜くなり、事件当時は40代だったホンカ役を、23歳の新進俳優ヨナス・ダスラー(「僕たちは希望という名の列車に乗った」)が特殊メイクで演じた。「若い人の目には、どんな特殊メイクをしても影響されない純真さがある。目に宿る純真さをとらえられたら、どんなキャラクターでも観客がついてきてくれる」と起用の理由を説明。「ホンカは幼少期に強姦されたり、ひどい目に遭ってきたけど、観客には彼に対して憐れみを抱いてほしくなかった」と、キャラクターへのアプローチ方法について語った。
観客から「今後、映画で描いてみたい実在の殺人鬼はいるか?」と問われると、「ナチスは連続殺人、大量殺人とみることができる。以前から興味のある題材なので、この先ナチスに関する映画をつくっても驚かないでくださいね」とコメント。さらに、ナチス親衛隊だった医師ヨーゼフ・メンゲレについての映画をつくろうと、今回組んだダスラーと話していたことも明かした。
ハリウッドの大作シリーズを監督する可能性について、若くして世界3大映画祭の主要賞受賞という輝かしい実績の持ち主であるアキン監督は「脚本の出来栄え次第」と回答。「ジャンルやスタジオ、予算に対して先入観ないので、脚本がよくて、素晴らしい人たちと一緒に仕事できる環境なら、断る理由はありません。限界を決めるのは自分自身なので、自分が何をつくりたいのか模索しながら決めていきたい。ただ、そういう(大作シリーズの)作品は、たいてい脚本が魅力的ではないんです」と譲れない条件を示した。
「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」は2月14日から、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野間ほか全国で順次公開。
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