石井裕也監督最新作「生きちゃった」は仲野太賀&若葉竜也!
2019年12月17日 08:00

[映画.com ニュース] 日本映画界を牽引する実力派・石井裕也監督のオリジナル脚本による最新作「生きちゃった」が、2020年に公開されることが決まった。「町田くんの世界」に続く石井組への参加となる仲野太賀が主演し、「愛がなんだ」での好演が記憶に新しい若葉竜也が共演する。
今作は、2019年6月に上海国際映画祭で「B2B(Back to Basics) A Love Supreme」(原点回帰、至上の愛)と銘打たれた新プロジェクトが発表されたことがそもそもの発端。香港国際映画祭と中国のヘブン・ピクチャーズが共同出資する同プロジェクトは、「映画製作の原点回帰」を探求するというコンセプトを掲げ、これに賛同したアジア各国の映画製作者たちに同額の予算を割り当て、新作を撮り上げるというもの。石井監督のほか、ツァイ・ミンリャン監督、チャン・リュル監督、ヤン・ジン監督、タン・チュイムイ監督、フィリップ・ユン監督が参加を表明している。
石井監督は、同プロジェクトについて「忖度や制約ゼロ、完全なる自由の中で映画を作ったらどうなるのか? 強度の高い傑作になるのか、はたまた独りよがりの映画になるのか。大いに興味が沸き引き受けました」と明かす。そして「『作りたい』という衝動と熱が何より大切だと思ったので、脚本は3日間で一気に書いて、信頼している仲間を急いで集めて、やると決めてから2カ月でクランクインしました。まるで自主制作映画のように夢中になって撮影しました。お金も時間もなかったですが、とにかくみんなでフルパワーを出し合って捨て身でこの映画を作りました。出来上がったのは、俳優たちの凄まじい本気と魂が感じられる剥き出しの映画です」と自信を深めている。
映画の主人公は、結婚して5歳の娘がいる山田厚久(仲野)と幼なじみの武田(若葉)。ある日、厚久が会社を早退して帰宅すると、妻が見知らぬ男と情事に耽っていた。突然の出来事に怒ることも悲しむこともできない厚久は、感情に蓋をすることしかできなかった。その日を境に厚久と妻、武田の関係は歪んでいき、予期せぬ展開へと向かっていく。
仲野は「愛について真っ向から挑んだ、人間回帰の物語」と今作を説明。さらに「若葉竜也さん、そして尊敬する石井裕也監督とともに、胸が張り裂けるような日々を過ごして作った今作が、きっと誰かを勇気づけると信じています。僕自身にとって、生涯大切にしたい映画になりました」とコメントを寄せている。一方の若葉も「オファーをもらい、台本を開いた時、石井裕也監督からの『果たし状』をもらったような気分でした。『死ぬ気で来てよ』って。『生きちゃった』の台本にはそれだけの気迫があったし、役者の端くれとして『やらない』という選択肢はなかった」と述懐。だからこそ「毎日、全シーン、全カット、心血込めてやりました。そしたら、すごいラストシーン、撮れちゃった」と手ごたえをにじませている。
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