小芝風花主演、安田真奈監督「TUNAガール」がNetflixで世界配信中
2019年11月7日 17:00
[映画.com ニュース] NHKドラマ「トクサツガガガ」の好演も話題になった小芝風花が主演し、「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」の安田真奈が監督したスペシャルドラマ「TUNAガール」(読み:ツナガール)が、ひかりTV、大阪チャンネルでの配信に続き、Netflixで世界配信されている。オリジナル脚本を手掛けた安田監督に製作経緯や撮影の裏話、小芝の魅力などを聞いた。
このドラマはNTTぷららと吉本興業が製作し、近畿大学の全面協力で制作された。吉本興業と近畿大学は、大阪らしい「おもしろい」研究や教育、情報発信を展開し、日本だけでなく世界に様々な価値を創出することを目指した包括提携協定を2016年12月に締結し、いろいろな取り組みを行っている。
今回は、32年もの年月をかけてクロマグロの完全養殖に世界で初めて成功した同大学の水産研究所が舞台で、劇場映画デビュー作「幸福(しあわせ)のスイッチ」(2006年)などでテンポのいい会話と心温まる作風が評判の奈良県出身、大阪府在住の安田監督が指名された。和歌山県串本町を舞台に若者たちが、地味ながらもアツい研究所での合宿を通して成長していく姿を描く。配信向けドラマとして制作されたが、90分という尺で、映画的な作りとなっている。
TUNA(マグロ)の語源でもある「突進」の意味の通り、どんな困難にも突進して傷つきながらも成長していくヒロインを小芝、同大学水産研究所の教授役を、ほっしゃんこと星田英利が好演。さらに、藤田富、金井浩人、遊佐亮介、田中珠里ら注目の若手と、ベテランの谷口高史らが共演し、同大学出身の升毅も友情出演。さらに同大学出身のつんく♂が主題歌を書き下ろしている。
巨体ながらハイスピードで泳ぐマグロのように、突進キャラの女子大生・美波は、養殖の研究合宿で泣いたり笑ったりと大暴走する。そんな美波を「小芝風花さんがイキイキと演じ、特にクライマックスの感情を爆発させるシーンは、小柄ながら圧巻の迫力でした。誰もが美波を、小芝さんを好きになると思います。星田さんや若手キャストも魅力的で、リアリティのある青春群像物語となりました」と安田監督。
撮影前に綿密な取材を重ねる安田監督は、今回も繊細な養殖の裏側をオリジナル脚本に織り込み、笑って泣けるとともに、マニアックな海辺の“学問青春ドラマ”に仕上げている。小芝も「この作品に携わるまで、マグロ養殖について何も知らなかったのですが、すごく丁寧に養殖の過程や、研究者の方々の愛が描かれていて、とても勉強になりました」とコメント。教授や学生のインタビュードキュメンタリー「海を耕す者たち 近大マグロの歴史と未来」も同時配信中で、あわせて見るとより「TUNAガール」を楽しめる。
森田芳光監督「家族ゲーム」や伊丹十三監督「マルサの女」などの影響を受けているという安田監督。「幸福のスイッチ」公開後に出産し、17年の「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」まではNHKドラマ「やさしい花」などの脚本を手掛けていたが、「子育ても作品作りに生かされている」という。「幸福のスイッチ」の上野樹里ら、「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」では堀田真由が公開後に売れっ子女優の仲間入りをしており、安田監督には若手俳優の才能を引き出す脚本力、演出力があるようだ。「TUNAガール」の小芝らもさらなる飛躍が期待される。
「『幸福のスイッチ』も『TUNAガール』も、古いものと新しいもの、世代間ギャップ、温度差をつなぐ面があります。そうした社会性は大事にしたいですね。また、ニュースに載るような社会の大事件も面白いですが、個人の大事件、ささやかな心の成長や気づきの瞬間は、丁寧に描いていきたいです」と、次回作への意欲を語った。
なお「TUNAガール」(https://www.youtube.com/watch?v=zlNpUzTGpuY)は、11月22日から24日まで和歌山県田辺市の紀南文化会館で開催される第13回田辺・弁慶映画祭で特別上映される。
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