伊藤沙莉×山田佳奈監督で生まれた現代版「赤線地帯」 キーになったのは田中俊介のお尻?
2019年11月4日 18:00
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[映画.com ニュース]第32回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品された「タイトル、拒絶」が11月4日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、キャストの伊藤沙莉、森田想、田中俊介、山田佳奈監督が舞台挨拶に臨んだ。
劇団「□字ック」主宰を務める山田監督が、自身の同名舞台を映画化。どうしようもない人生でも“生きていかなくちゃいけない”デリヘル嬢たちの姿を描く。「かちかち山」のウサギとタヌキになぞらえている登場人物の“ポジション”。自身を“タヌキ”だと感じている主人公カノウ役の伊藤は「(役の理解は)すんなりでしたね。“人間・伊藤沙莉”は、タヌキとして生きてきたつもりだったので、カノウに寄り添えるなと。客観と主観がぐちゃぐちゃと混じり、カノウの立ち位置や目線、考えは共感ばかり。(脚本を読んだ時点で)演じていて楽しいだろうなと思っていたんです」と念願の役どころになったようだ。
長編デビューを飾った山田監督が、舞台版の脚本を書き下ろしたのは約6年前のこと。当時、レコード会社の社員だったようで「容姿が良い女性、そうではない女性の仕事の取り方が全然違ったんですよね。私は本作でいえばタヌキ寄りの人間だったんですが、男性に負けたくないなという気持ちが強かったんです。なぜ女性は2種類に分類されなくてはいけないのか――そういう葛藤を持ったまま20代半ばを迎え、書いたのがこの作品でした」と述懐。観客からは「『赤線地帯』(溝口健二監督)で描かれていたことの“現代版”のように思えた」という感想が飛び出し、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターを務める矢田部吉彦氏も2作の共通点を認めていた。
デリヘルを舞台としながらも、性描写は極力省略されている。「企画立ち上げ当時、セックスワーカーを題材にしているため“脱ぐ”“脱がない”に関する点を話し合いました。本作は性を扱うというよりも、ひとりひとりの生きざまを描くもの。極力性描写なしに、人間を描けないか」と熟考を重ねた山田監督。恋愛軸が強い関係性であるキョウコ(森田)とリョウタ(田中)の性描写のみとしたようで「男性監督が女性を脱がして表現することは多いですが、『そうではない表現とは?』と考えた時に、男性のお尻はどうなんだろうと思いついたんです」と振り返った。
「だから、田中君に『お尻ってどう?』と聞いたんですよ(笑)。そうしたら『全然お尻大丈夫っす!』と言ってくれたんです」(山田監督)と田中のお尻を映すことになったようだ。「性生活、性描写を、自分なりの解釈で撮れないかなと思って、あの表現になったんです」という発言に続き、コメントを求められた田中は「僕のお尻に関するコメントですか?。皆さん、いかがでしたか?」と笑いながら客席に意見を求める。やがて、場内に拍手が響き渡ると「ありがとうございます。お尻がきれいな俳優です」と胸を張った。
やがて、作品作りに関するこだわりを問われた山田監督。「舞台出身者であり、音楽好きという面もあるのですが――レコード会社で『怒髪天』の宣伝を担当していた頃に『ミュージシャンとは、最初の一音を鳴らすまでが勝負だ』という言葉を聞いたんです。舞台も映画も、最初の5分、そして物語が走っていく15分を、どうお客様に見ていただけるかということを大事にしています」と答えていた。
第32回東京国際映画祭は、11月5日まで開催される。
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