是枝裕和監督「真実」ジャパンプレミアに感無量 ドヌーブ&ビノシュがそろい踏み
2019年10月3日 15:42
[映画.com ニュース] 是枝裕和監督が初めて国際共同製作で手がけ、第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門でオープニング上映された「真実」のジャパンプレミアが10月3日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、是枝監督をはじめ、来日中のカトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュが出席した。
フランスの国民的大女優ファビエンヌ(ドヌーブ)の自伝本「真実」をめぐり、確執を抱える娘で脚本家のリュミール(ビノシュ)との間に隠された愛憎が暴かれる。リュミールの夫ハンク役でイーサン・ホーク、ファビエンヌの共演女優役でリュディビーヌ・サニエら実力派キャストが顔をそろえる。
日本の観客にお披露目の場となったこの日、是枝監督は「こんな形で映画を撮れるなんて、現実感がなく、ここに立てるのも信じられない」と感無量の面持ち。撮影はパリで約10週間行われたそうで「日本の2倍くらいですから、ゆっくりゆっくり同じ時間を共通しながら、映画を作れた。日本だと『もっと撮れるのに』と思うが、(フランスの)リズム感に慣れると、撮っていない時間も大切に思えた」という。
フランスを代表する大女優2人とタッグを組み、「ベネチアもそうですけど、こういう華やかな場に来ると、やっぱりすごい2人なんだなと(笑)。現場では1人の女優、1人の監督として信頼関係を築き、楽しく映画作りができた」と確かな手応えを示した。
一方、「最初は言葉の壁もあり、もどかしさもあった」と振り返るドヌーブは「徐々に時間を重ねるうちに、監督の表情や視線、素振りで、何を伝えたいのか、どう感じているのか理解できるようになった」と語り、「やはりこの役をいただけたことは、光栄でうれしい」と喜んでいた。
また、ビノシュは、是枝監督を知るきっかけになった代表作「誰も知らない」に触れ「子どもたちの無邪気さ、人生を描くディテールに感動した」。是枝監督とのタッグを長年夢見ていたそうで「実際にお会いして、鋭い観察眼と感受性、そしてすぐに打ち解けられる親密さを感じた。優れた監督の資質の持ち主」と話していた。
ジャパンプレミアには、本作の日本語吹き替え版で声優を務める宮本信子、宮崎あおい、「万引き家族」で注目を浴びた子役の佐々木みゆちゃんが駆けつけた。それぞれドヌーブ、ビノシュ、クレモンティーヌ・グルニエの声を担当し、洋画の吹き替えに初挑戦している。「真実」は字幕版、日本語吹き替え版ともに、10月11日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。