90歳の現役セックスセラピスト、ドクター・ルースに質問 近年、顕著に増えた相談は?

2019年8月29日 19:00

ドクター・ルースこと ルース・ウェストハイマー氏
ドクター・ルースこと ルース・ウェストハイマー氏

[映画.com ニュース] ホロコーストの孤児、元スナイパー、シングルマザー、3度の結婚という、波乱万丈の人生を送り、現在90歳で現役のセックス・セラピストとして活躍する女性を追ったドキュメンタリー「おしえて!ドクター・ルース」は8月30日公開する。チャーミングなキャラクターでたちまち人々を魅了する、ドクター・ルースことルース・ウェストハイマー氏に話を聞いた。

--渡仏し、ソルボンヌで心理学を学ぶ前から、セラピストを目指されていたのでしょうか? 何か別の職業など目指していたことはありますか?

セラピストは目指していませんでした。私は小児科の医者になりたかったのです。しかし、医療を勉強できないと分かっていました。高校を卒業していなかったからです。またお金もなかったからです。化学のクラスも取っていなかったし、物理の勉強もしていませんでした。だから心理学者になろうと決めたのです。医者ではないけれど、人を助ける仕事ができると思ったからです。

--1950年代にシングルマザーという生き方を経験されました。当時は大きな決断だったと思いますが、選択の決め手はなんだったのでしょうか?

私はシングルマザーになるほうが、退屈な結婚関係を続けるよりましだと思ったのです。映画を見た人は分かると思いますが、彼は見た目はカッコいい人だったのです(笑)。しかし、興味深い人ではなかったのです。でも私はラッキーでした。3番目の夫、フレッド・ウエストハイマーをスキー場で見つけたわけですから。さらに私がラッキーだったのは、ほとんど40年間も、素晴らしい結婚生活を送れたことです。彼は、(前夫との子)ミリアムを自分の子として養子にし、また2人の間にはジョエルが生まれました。2人はいまだにすごく仲が良いです。2人は素晴らしい結婚と素晴らしい結婚関係から生まれた子ども達です。だから、私は今日、あの当時どれだけ大変だったのかということすら、笑いにできます。1時間に1ドルで働いていたのにです。でもそれでも構いませんでした。その後私はラッキーだったのでフレッドに出会ったわけですから。唯一悲しいことがあるとすれば、彼が亡くなるのが早すぎたということです。彼は20年前に亡くなってしまいました。

--時代が移り変わることに、人々の性への悩みも変化していくと思います。近年で顕著に増えたと感じる相談はありますか?

そうですね。変わっています。実は昨日新しい本が発売になりました。「SEX FOR DUMMIES」という本なのですが、それの改訂最新版です。その最新版の中で、孤独に関する新章を加えました。現在、多くの人が孤独であるように思うのです。人間関係を形成しない人が増えていると思います。会話を持つことの意味が失われていることについての章も加えてあります。それは、日本の方々も含めて、誰もが、スマホばかりを見ているから起きているのだと思います。そのせいで人と会話を持つ能力を失っていきます。レストランに行っても、家族全員がスマホを眺めている光景を目にします。私は今回、日本のみなさんに、警告したいのです。確かにスマホは大事です。けれど、それを横に置いて、人と会話を交わすことは非常に大事なことです、と。

--性に関する様々な相談を受け、いちばん回答するのことが難しかった質問はどのようなものでしょうか?

一番難しかったと質問はありません。私はいつでも正直に答えるからです。それがみんなに信頼されている理由だと思います。私は分からない質問には正直に「分かりません」と言えるのです。

--様々な逆境を経て、今となっても人生をパワフルに更新されています。ルースさん自身は、何か悩みなどはないですか?

悩みはもちろんあります。例えば私は貧しい人のことをいつも心配しています。仕事を見つけられない人について心配しています。体の不自由な人達に十分な施設がないことを心配しています。彼らをしっかりと助けてあげていないように思うのです。そういった人々を施設に送ってしまうのではなく、面倒をみるコミュニティがあって欲しいと思っています。そしてその場所が、可能な限り最高の場所になってほしい。例えば映画を見られたり、レクチャーを行なったり。私の映画に限らなくてもいいです。でも私の映画はきっと良いと思います。

--楽天的でユーモアに溢れたお人柄が魅力です。生まれつきの性格ですか? 若い時代につらい経験をなさって意識的にそのように振舞うようにされているのでしょうか?

それはその両方が合わさったのだと思います。それと私は一人っ子だったことも関係してると思います。私が子どもの頃、10歳から10歳半くらいまでの頃は、母も父も祖母も母方の祖父母も村にはいて、私の子供時代というのは素晴らしいものでした。一人っ子だっので、人形も10個も持っていました(笑)。スイス製の人形から、ドイツ製の人形などまで。私は、子どもにとって生まれて最初の数年間が非常に大事だと思っています。私は生まれてから子どもの初期の時代に素晴らしい経験をしました。ユダヤ系の素晴らしい学校にも通ったし、何よりもユダヤ人としての価値観をまず第一に学びました。私の父がいつも言っていたのは、一度受けた教育は人から奪えないということでした。それからユダヤ教の伝統をユダヤ教の学校でしっかりと学び、受け継いだのです。だから私は人生において上手くやっていけたのだと思います。私はしっかりと勉強したのです。それから、私と一緒にドイツを去り、ナチスのせいで孤児になった他の子達も全員しっかりと生き抜きました。それは、社会の模範や基礎を学ぶ人生の初期に、愛に溢れる家族の中で育ち、家族に愛され、そして優れた教育を受けていたからです。

おしえて!ドクター・ルース」は8月30日、新宿ピカデリーほか全国で公開。

(映画.com速報)

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