「S.W.A.T.」アレックス・ラッセル、シリーズ初挑戦で得た“俳優としての自由さ”とは

2019年7月12日 23:00

取材に応じたアレックス・ラッセル
取材に応じたアレックス・ラッセル

[映画.com ニュース] 現在放送中のポリスアクションシリーズ「S.W.A.T.」シーズン2で、トラブルメーカーのジム・ストリートを演じるアレックス・ラッセルが来日。自身初となるシリーズにかける思いや役作り、俳優という職業観を映画.comに語った。

※本記事は、「S.W.A.T.」シーズン1~2第3話までの内容に触れています。未見の方はご注意ください。

――ご自身にとって初のテレビシリーズですが、映画と1番大きく違う点はどこでしょうか?

「最大の違いは、時間です。ネットワーク局のドラマは特にそうですが、1年のうち9カ月間くらいを費やします。すごい長さですよね(笑)! シーズン2を撮り終えてから2カ月くらいでもうシーズン3の撮影が始まるんです。ハードワークだし、休む時間も少なくて、シーズンの終わりには疲れ切っていますね(笑)。でも、そういう生活を送ることで、役が自分自身と重なっていく。これって、俳優としてはすごく自由になれるということでもあるんですよ。映画ではありえない方法でキャラクターと繋がっているんですから。もちろん映画も、いろんな役に挑戦するのも大好きですが、それでもジム・ストリートという役は特別です。もう僕自身が彼の一部で、彼も僕の一部になっている。そういう繋がりが、今の僕を形成しています。このドラマが続く限り、僕は彼を通して生きています。こういうすべてのことが、彼を演じる上での自信になっています」

(C)2018, 2019 Sony Pictures Television Inc. and CBS Studios Inc. All Rights Reserved
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――ジム・ストリートとご自身に共通点はありますか?

「ストリートは、生意気ぶるのが好きですが、僕もそういうところがありますね(笑)。“限界に挑む”というか、ちょっとだけ生意気になってみて、どこまで許されるか試そう、みたいな(笑)。彼のそういう遊び心があるところが好きですが、よくトラブルに巻き込まれる理由でもありそうですね(笑)」

――映画「クロニクル」や「キャリー」では、ハンサムで典型的な学園の人気者で、どこか人の良さを感じさせる演技を見せてくださいました。ストリートもそんなキャラクターですが、どう意識して演じていますか?

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「シーズン1での彼は、生意気で、荒々しく、傲慢な態度の若者です。パイロット版(シーズン1第1話)の台本を読んだとき、このままでは不愉快な人物になってしまう可能性があると感じました。誰の言うことも聞かず、注意散漫で、やりたい放題で、子どもみたいに不機嫌な態度をとるような、未熟な人間。台本のなかでは、視聴者に応援してもらえそうもない男でした。最終的には、制作総指揮のショーン・ライアンに『彼を面白い男にするべきじゃないかな』と提案したんです。(警察官という)肩書きだけは立派で生意気な若造なんて嫌われるだけですから。だからこそ、バランスを取ることが重要でした。彼に、その無謀さを少しだけ上回る風変わりなところがあれば、かわいらしさが生まれて許してもらえるかもしれないと思ったんです」

――キャラクターにご自身の性格も反映されているのでしょうか?

「そうですね。僕はちょっと間抜けなところがあるし、馬鹿になるのも好きです(笑)。楽しんで、たまには馬鹿なこともやらないと人生もったいない。物事を真剣に捉えすぎるのもよくないと思うんです。そういう僕の人生観をストリートに注いだことで、自分自身かストリートに近づいた気もするし、それによってより視聴者からの反応が得られたと思っています」

(C)2018, 2019 Sony Pictures Television Inc. and CBS Studios Inc. All Rights Reserved
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――ストリートの母親は殺人犯であり、息子を操ろうとします。母子関係はあまり健全なものとはいえません。複雑な母子関係をどう見ていますか?

「ストリートにとってつらい状況ですよね。でも僕は、彼の母親はとても息子を愛していると思うんです。ただ、良い人ではないけれど……。結局、問題は彼女がやりすぎてしまうところ。息子に対する愛が本物だからこそ、ストリートは母親のこととなると盲目的になってしまう。何が起こるにせよ、ストリートが母親との関係をどう扱うかが今後重要になっていきます」

――母親との関係など、複雑な状況に置かれた役を演じる上で準備していることはありますか?

「複雑な母子関係を演じるからといって、特別な用意をすることはないですね。役に関する資料やデータを集めて、それに自分がどう反応するか、というだけです。それが俳優という職業の面白いところ。みんな違う人間だから、役に対する反応も少しずつ違ってきます。僕の仕事は、そこにあるものを受け止めて、青写真を描いて、それを体験するということ。刑務所で母親と座っているとか、たとえそれがどんな状況であろうが、描いた青写真に沿って、ストリートが経験しなければならない状況を一緒に耐え忍ぶだけです」

(C)2018, 2019 Sony Pictures Television Inc. and CBS Studios Inc. All Rights Reserved
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――ストリートはシーズン1でS.W.A.T.部隊を解雇されてしまいましたが、シーズン2で再挑戦しますね。どのような成長が期待できるでしょうか?

「シーズン2では、落ち込んでどん底にいるストリートを見ることになりますよ。もう滑稽なほどに。一般の警察官が彼より下というわけではないのに、彼にとっては無意味なことに思えてしまう。そんな環境にいる彼が滑稽に見えるけれど、そこからたくさんのことを学んでいるよ。彼は今まで知らなかった“どん底”を見ている。これまでは、少し学びを得ても自らの過ちに向き合わずにいられましたから。S.W.A.T.に戻る希望がないように思えるこのときが、彼にとって初めて本当の意味で自分と向き合う機会だったと思います。シーズン2では、彼が自分自身を見つめ、人生を取り戻すために難しい判断をする姿が見られますよ」

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――誰もがストリートと同じように挫折を経験していると思います。今そのような状況にいる人々に伝えたいメッセージはありますか?

「個人的には、ストリートに起こったことは神様が決めたことだと思っています。僕は信心深いわけではないですが、人知を超えた力やつながり、宇宙の力、能力みたいなことは信じています。多くのことは、理由があって起こっていると思っています。ときに人間は傲慢になって、物事をもっとコントロールできるはずだと考えてしまいますよね。でも、まったく筋が通らないような厳しい状況を受け入れ、流れに身を任せてチャンスがやってくるのを待つのも悪くないと思うんです。不死鳥が灰から生まれ変わるように、エゴを捨てて、そのなかで可能性を探す。ただ信念を持ち、信頼し、受け入れ、好奇心をもって前に進む。その方がきっと楽しい。それに、皮肉だけれど、その道のりを楽しんでいる方が、最終的には良い結果を得られる気がします」

「S.W.A.T.」シーズン2は、海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」で日本独占放送中。

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