インドネシアの一部地域で上映中止騒動が起きたガリン・ヌグロホ監督の新作を上映
2019年7月8日 23:00

[映画.com ニュース] 1990年以降のインドネシア映画界をけん引し、国際的に活躍するインドネシアの映画監督、ガリン・ヌグロホ監督の最新作「メモリーズ・オブ・マイ・ボディ」が7月7日、東京・有楽町スバル座で開催中の特集「東南アジア映画の巨匠たち」で上映され、本作の着想のもととなったダンサー、リアントが映画の裏側について明かした。
2018年のベネチア国際映画祭オリゾンティ部門で上映された本作は、数々の困難に直面しながらも、男性が女形の踊りを行う「レンゲル」という伝統的な舞踏に魅せられ生きた青年ジュノの物語。「レンゲル」の伝統を受け継ぎつつも、より現代的な要素を加味して活動しているというリアントは、「レンゲルの歴史は1000年を超えるものなのですが、このダンスを継承してきた先代が昨年亡くなってしまいました。ですから今度はわたしがその伝統を引き継がなければ、という責任を感じながら、コミュニティをまとめています」と決意を語る。
ヌグロホ監督は、中部ジャワのバニュマス地方でレンゲルを見て、映画にしたいと思ったという。リアントも「レンゲルは(数々の迫害を受けたという)過去のトラウマを多く抱えている。監督はそこに関心を持ったようです。また、男性性と女性性がひとりの肉体に同居し、行ったり来たりと変化するところにも興味を持ったようですね」と振り返る。
劇中では、レンゲルのダンサーたちの苦難の歴史も描き出されている。「実は映画で描かれていたことはよくあることなんですよ」と切り出したリアントは、「レンゲルの公演をしようと許可を得ようとしたら物議をかもしたり、もめごとがあったり。それからレンゲルは政治利用されることもあるんです。それで共産主義者だとレッテルをはられて公演が難しくなるといったこともあった」と解説。さらに「宗教的な問題もありますね。インドネシアの人口の9割がムスリムと言われる中で、大衆の前で、男性が女性を演じるというのはタブーなんです」と付け加えた。
今年4月に現地で公開された時は、劇中のLGBT描写が物議をかもし、西ジャワなどでは上映中止の騒動が起きたという。「上映禁止になったということは、レンゲルのコミュニティにとっては打撃ではありましたね」と語るリアントだったが、「でも我々も次世代に継承するために踊り続けたいと思っています。この映画が伝えているのは多様性を尊重するということ。いわゆるLGBT映画ではないと思っています。ジェンダーやLGBTということを持ち出すと、そこに何らかの葛藤、議論、衝突といったことが取りざたされるが、この映画は図書館のようなもので、ここは男性性のコーナー、ここは女性性のコーナーというように、いろんな要素があるんです。つまりわたしの身体、そしてインドネシアという身体の中に、いろんな要素があるんだと考えています」と付け加えた。
「東南アジア映画の巨匠たち」は、7月10日まで東京・有楽町スバル座で開催中。
フォトギャラリー
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

雪風 YUKIKAZE
【観て、心から本当によかった】「コード・ブルー」「海猿」に涙した人にもオススメしたい新たな傑作
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、バンダイナムコフィルムワークス

なんだこのぶっっっとんだ映画は!?
【観ないのは映画人生の損失?】狂気的なクオリティでぶち抜く“常識外れの超高評価作”
提供:東映

「鬼滅の刃」無限城編&超人気アニメ映画が【500円】で観られる!
【絶対にこの記事を読んでから観て】確実に損しないオトク情報
提供:KDDI

売春婦殺人事件、深刻な麻薬汚染…
遺体発見。妹でないことに、少しだけ安堵した。【現代の闇を描く、注目の衝撃作】
提供:BS10スターチャンネル

絶対に開かないでください。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
提供:ワーナー・ブラザース映画

またピクサーが大傑作つくったんですか…
【ボロボロ泣く感動超大作】両親を失った主人公の再生の物語。そのままの君が、好きだよ。
提供:ディズニー

映画界を変える“究極の推し活”がある!
【革命的すぎてヤバい】大好きな俳優と映画を“まさかの方法”でとことん応援できる!!
提供:フィリップ証券