「黒沢清作品を参考にした」仏学園ホラー「スクールズ・アウト」監督が学生に向けレクチャー

2019年6月22日 13:14

学生たちから質問も寄せられた
学生たちから質問も寄せられた

[映画.com ニュース]開催中の「フランス映画祭2019 横浜」で、マスタークラス「フランスの若手監督がキャリアと映画を語る」横浜市立大学金沢八景キャンパスで6月21日行われ、上映作品「スクールズ・アウト」のセバスチャン・マルニエ監督とプロデューサーのキャロリーヌ・ボンマルシャン氏が作品を語った。

映画は、担任が自殺した名門中学のとあるクラスの後任教師が、知能の高い生徒たちの絶望や悪意に翻弄されていく学園サスペンホラー。マルニエ監督は「原作小説を読んでショックを受けました。さまざまなジャンルが混在しており、次第にサスペンスに変わっていくのがスティーブン・キングを思わせる。音や映像をどのように演出しようかと脳裏に浮かぶくらいの物語でした。当時は25歳、経験も資金もなく、ポケットマネーで映画化権を買いました。一度は権利を手放しましたが、その後プロデューサのキャロリーヌに会って物語が再び動き出したのです」と映像化の経緯を振り返る。

「子どもたちの恐怖を感じながら脚本を書いた。原作にDNAを大事にしながらも、プロットや展開は変えました」といい、劇中では、テロの脅威や環境破壊など現代の社会問題も反映されている。「ここ4~5年、フランスの学校ではテロ対策が行われています。キャロリーヌの娘は中学生で、正面玄関はテロリストのターゲットになるからいてはいけない、などと指導されるとのこと。こういった子どもたちの実際の経験を映画に反映したいと思いましたし、私たち大人はこういった未来を残してしまったのです」

「そして、子どもたちは優秀であるのに、悲観的な考えを持ち、孤立しています。学校の中でも世界でも居場所がない、と考えるのがミシェル・ウエルベックの小説に通じる。彼らは感受性が強いために、大人と同じような不安を感じてるのです。実際起きた災害や人が死んでいたりする映像をフィクションの中に入れていいのかという議論もしましたが、実際の映像を見ることで、子どもたちが演じる上での助けになった。ホラー映画より実際起きたことのほうが恐ろしいのです」とその意図を説明する。

劇中で生徒がゾンビのように歩く動きについては「黒沢清監督の『回路』を思わせるシーン」だと明かす。「手がかりがない状態で物語が進み、ノイズ音など、身体で感じ、主人公になったのように物語に没入できる黒沢監督作品の幽霊的な要素、そしてカメラワークなどを参考にしています。冒頭のシーンは、真正面ではなくカメラを低くし、不安や恐怖を表しています。そして、学園ドラマから始まり、段々関係者が毒され、スリラー、ホラー、ゾンビとジャンルを次々と変えていくのです。まだ見ていない方のためにお話はしませんが、ラストもまた変わっています」と作風へのこだわりを語った。

プロデューサーのボンマルシャン氏は、「私が好きなのは、ひとつの作品にさまざまなジャンルを混ぜることです。ジョン・カーペンターもそうでしたが、その中であるビジョンを示すのです。フランス映画は、ひとつのカテゴリやジャンルに縛られないのが良いところだと思う」と自身の考えを述べ、「ジャンル映画は、伝統的な作家映画に比べ資金調達が大変なことがあります。しかし、最近はフランス国立映画学校でもジャンル映画を作りたいという学生が増えています」と話した。

「フランス映画祭 2019 横浜」(http://unifrance.jp/festival/2019/)は、イオンシネマみなとみらいほかで、23日まで開催。チケットは発売中。

(映画.com速報)

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