コムアイ、インドネシア巨匠の白黒サイレント映画でライブパフォーマンス「地球人として声出したい」
2019年6月18日 13:00

水曜日のカンパネラのコムアイが、国際交流基金アジアセンターによる、日本と東南アジアの文化交流事業を紹介する祭典「響きあうアジア2019」の一企画「『サタンジャワ』 サイレント映画+立体音響コンサート」に参加する。インドネシア映画界を牽引するガリン・ヌグロホ監督の作品に、サウンドデザイナーの森永泰弘が音楽をつけ、コムアイらと共にライブパフォーマンスを披露。国内外のミュージシャンも招聘し、7月2日に2度上演される公演は、映画と音と声を併せ、作品を完成させるという1日限りの貴重なコンサートだ。リハーサルを控えたコムアイに話を聞いた。(取材・文/編集部、写真/松蔭浩之)
最初にガムラン音楽付きの作品を見ました。ガムランの第1人者が演奏されていたのが本当に素晴らしくて。その時に私ができるようなことが思いつかなかったので、実は一旦、お断りしかけたんです。
以前から、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の映画が好きなんです。伝統的で、その土地にうごめいている霊的なものをどう映すかということに興味があって。ヌグロホ監督の作品にも、同様のものを感じます。ヌグロホ監督と家族ぐるみのお付き合いをされている森永さんに、私の声がそういったものを内包しているように感じると誘われたので、ひとりじゃないし、やってみようとお受けしました。

リゾートのあるビンタン島は以前家族で行ったことがあり、バリ島にも行っていますが、インドネシアの文化って、これまでバティックくらいしか知りませんでした。今回は“K”のような形をしているスラウェシ島の南スラウェシに滞在しました。空港がマカッサルという街にあるんです。その前にニューヨークにいたのですが、「JFK空港じゃなくて、マカッサル空港に行くんだ私」って、全然知らない土地の名前にワクワクしていました。
そして、秘境系の音楽にお詳しい森永さんと合流して、私は現地でお話を聞いたり、言葉をジェスチャーで教えてもらったり、楽器を教えてもらったり、誰かの踊りを真似したり、子供たちと追いかけっこしたり……「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターみたいなことをやっていていましたね(笑)。大家族のお宅にお邪魔したときに、暑かったので布をかぶってお化けのまねをして子供たちを驚かせたときは、自分が知らないところから来た何かという役を当てはめにいったと感じました。彼らが見えないものと共存している感覚がわかって面白かったです。
インドネシアには1万7000以上の島があるんです。奄美大島と宮古島でも違う文化を持つくらいですから、部族も言語も多くて、世界にある言語の1割がインドネシアなのだとか。山間部に住んでいて、特殊な技術を持っている民族がいたり。とある部族は、文明の利器を使うのが悪とされていて、21世紀なのに電気を使わない人たちがいるんです。あとは、死を祝うような部族もいて。巻きスカートが多いのですが、それぞれの部族の装束が真っ黒だったり、藍染だったり、絹だったり、コットンだったりと全て異なっていました。子供の数もとても多くて、皆で育てているので気が楽そうな感じ。ここにいたら、あったかくて、ご飯も安くておいしくて、のんびりしているので、これだったらみんな子供を作るよな、と思いました。私はこういった村の大家族たちと一緒のいるときのほうが、東京にいるときよりなぜか安心しますね。

ガリンさんは、多様な部族を抱える国の出身で、ローカルの人たちと積極的に交流するから、地域のおじさんみたいな顔を持っているんです。そしてアート界にも顔が通じていて、それらを交差させられる方。「サタンジャワ」というタイトルですが、ジャワ以外の音楽も文様や装束もミックスされています。人間が魔物になっていくというのは、マーベル作品と一緒だと思うのですが、その変身に仮面や小道具が出てきたり、念が強まったときに何かに変身したり。そういうことって、どの時代と文化にも共通してあること。化けたサタンが出てきたときに、それに対峙する人も影響されて変わっていったりするんです。マジックではないけど魔術的。ちょっと怖い物語ですが、面白いです。
ガリンさんとは今回のリハでお会いできるのが楽しみで。やりたいことがたくさんあるらしくて、日本の公演に合わせて映像も新たに演出されるようです。私はアジア人として、地球的な感じで、私は日本人として何ができるかを考えすぎず、アジア人として、地球人として、ほわーんと声を出したいです。
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